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経営者は自らリスクを取る気概を “政府頼み”は一時代前の発想

 財政政策に関して言えば、公共事業に景気刺激効果があるのかが問題である。2009年2月に米オバマ政権は史上最大規模の財政刺激策を講じたが、4年間経っても効果は表れていない。同政策が議会で審議されていたとき、ロバート・シラー・エール大学教授は「アニマル・スピリッツが衰退しつつあることを考慮すれば景気刺激策は失敗に終わるだろう」(ウォールストリート・ジャーナル紙)と予言していた。


 結果は同教授の予想通りとなった。オバマ政権の誕生でケインズ経済学の復活が主張されたが、期待されたような成果を上げることができず、「ケインズ経済学は2度死んだ」といわれている。

 資本主義は、ケインズの言うアニマル・スピリッツと、シュンペーターの言う創造的破壊を原動力に育っていく。

 企業が成長するには、経営者がリスクを取って投資をすることが必要だ。成長は生産性向上を通して実現される。だが、今はしばしば、もっと安易な道が選ばれる。労働コストの削減と工場の海外移転である。そこには生産性向上はない。労働コスト削減にはおのずと限度があり、それはめぐりめぐって消費の落ち込みとして企業に跳ね返ってくるだろう。工場の海外移転は生産だけでなく、消費でも国内市場の空洞化を招くことになる。

戦後の経営史を見ていると、経営者の質が時代とともに劣化しているように思える局面が少なくないのは、残念だ。