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新たな量的緩和の効果 - 池尾 和人

資金の供給量を2倍にするとか、ベースマネーの量を2倍にするとかいわれると、錯覚しやすいと思われるが、長期国債を買い上げる代わりにベースマネーが供給されるわけだから、ベースマネーが増える分だけ民間銀行が保有する長期国債の額は減っている。すなわち、別に民間銀行(ましてや家計や企業)の購買力が増加するわけでもなんでもない。民間銀行の保有する金融資産の内訳が変更されることになるだけである。民間銀行の保有する金融資産の総額は一定のままである。

要するに、前の記事で述べた英国の場合と同様に、今回の新たな量的緩和についても、「もっぱら資産価格と為替レートへの影響、および期待へのより広い効果を通じて」というのが、想定し得る効果の波及チャネルだと考えられる。逆にいうと、はっきりと定量的に効果の期待できる確実な波及チャネルがあるわけではない。この意味で、「賭けに打って出た」ということだと考える。