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アングル:投資マネーは新興国離れ、米ドル一極集中の可能性 | Reuters

量的緩和の縮小観測と時を同じくして浮上した新興国の脆弱な経済情勢や政情不安で、投資マネーは新興国から離れている。


その時々の情勢に応じ、投資対象が慎重に選ばれる「選択的リスクオン」のもとで、目下のところ米ドルにマネーが集中しやすくなっている。

「いまさらエマージングの株や債券は怖くて買えない」――大手邦銀の関係者はこう語る。米量的緩和の縮小観測をきっかけに新興国の株式や債券には強い売り圧力が掛かった。金利上昇で米債投資の魅力が増す半面で、新興国の問題が次々浮上、流入していた投資マネーが巻き戻されている。


その典型例がブラジルだ。ブラジルの主要株価指数であるボベスパ指数.BVSPは2009年4月以来の安値、ブラジルレアルは対米ドルで6月20日に同じく09年4月以来の安値をつけて以降、安値圏での推移が続いている。米国の量的緩和縮小観測がマネー流出のきっかけの1つになったが、ブラジルの景気減速、さらに過去数十年で最大級の規模となった反政府デモが投資マネー離れを加速させている。


今回の反政府デモのきっかけには公共交通機関の運賃値上げがあったとされているが、ブラジル中央銀行は民衆の不満にこたえるため、利上げを強化するとみられている。振るわない景気動向と合わせて株にはダブルパンチだ。「ブラジルへの証券投資、直接投資両方のフローで下押し圧力が掛かっている」(SMBC日興証券・金融経済調査部の武田泰典氏)。資金離れは経常赤字のファイナンス懸念を高め、レアル買いを遠ざける。

外為どっとコム総研のジェルベズ久美子研究員は、リーマン・ショック以降、マーケットは「選択的リスクオン」を繰り返してきたと分析する。投資家は買うべき通貨を慎重に選別するようになり、「買うとしても、より安全そうなものしか買われない」という。米国が緩和政策を推進するなかでは高金利新興国や資源国の通貨がマネーを引き付けてきたが、量的緩和の縮小が意識され始めたことで、一転して新興国が抱えているぜい弱性に関心が集まり、「選択的リスクオン」が再び強まっている。


マネーは新興国を離れ、現局面では米ドルに集中しつつある。先進国でも、日銀はかねてから異次元の緩和を進めている。4日には、欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(BOE、英中銀)がそろってハト派的なスタンスを鮮明にした。5日の米雇用統計が良好なものとなれば、ドルが全面高になる可能性があると予想されている。