【父の教え】海洋冒険家・白石康次郎さん「子供の邪魔はしない、自分で決める、絶対人のせいにするな」 - MSN産経ニュース
鉱造さんを頼ったことが一度だけある。師匠の多田雄幸さんの忘れ形見のヨットを購入したときだ。亡くなった師匠の船で世界一周したいという夢があったが、購入資金がなかった。鎌倉の実家を訪れ、借金を申し入れた。生まれて初めての父への頼み事だった。
「冒険にカネは出せない。おまえが海で遭難したら、俺は一生海を捜さなければいけないから」。諦めかけた。しかし、話は終わっていなかった。「ただ、掘り出しモノの船があってほしいというのなら考えてもいい」。危険なことはしてほしくないが、子供の夢は応援したい、という親心だった。
その船で世界一周の夢を果たした。「夢は自分の内側から来る。人に言われてやるものじゃない。おやじがいつも黙って信じてくれていたから、おのずと夢を見ることができた」
講演活動などを通じ、嵐を避けるのではなく、乗り越える子供を育てたいという目標を持つ。
「良いときだけ褒めるのではなく、どんなときでも信じるのが愛情」。