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次期FRB議長の資質に疑問符 “官僚答弁”に終始した公聴会|inside|ダイヤモンド・オンライン

 「ジョンソン議長、クラポ上院議員、そして委員会の皆さま、本日はこのような機会を与えてもらったことに感謝いたします」


 実はこれは、前日の段階でFRBが早くも公開していた3枚の原稿通りのあいさつだ。


 あいさつに限らず、原稿と一言一句違うことなく読み上げる証言が続き、「サプライズはなかった」(市場関係者)というのがコンセンサス。ハト派バーナンキ現議長の後継者であることをアピールするという安全な既定路線を走り、紋切り型の答弁に終始した。

 ところが、である。市場はこれを「緩和を当面維持」と無理に材料視し、金利は低下、米国株は続騰するという反応を見せたのだ。


 イエレン氏は「景気回復が脆弱な段階なので、緩和を続ける」と述べたにすぎない。長らく続く超金融緩和策(QE)により、経済回復が弱いのに株価が上がるという、感覚がまひした危うい“バーナンキ時代”の相場が続いている。

 答弁は安全運転に終始したイエレン氏だったが、はたしてFRB議長としての資質については大いに疑問が残るものとなった。


 目先の景気刺激には積極的な姿勢を見せたが、「出口政策についての配慮はなかった」(加藤出・東短リサーチ社長)からだ。資産バブルについても多くの質問が出たが、「バブルではない」と断言した。


 さらに最大の懸念材料は、政策や経済見通しの「透明性」をアピールしたことだ。バーナンキ議長と同様に、「QEは定められた軌道にない、継続するかどうかはデータ次第だ」と述べたのである。


 だが、経済指標を見て政策を決めるというのは、いわば素人でもできること。それで政策判断をしていたのでは遅いし、「そんな科学的なアプローチだけで対応できるものではない」(市場関係者)。


 本来、経済の先行きなど誰にもわからないのに「政策の透明性だけを高めるというのは、無理な話」(日本銀行幹部)でもある。むしろ、経済という“生き物──科学ではなくアート”を相手にする以上、現在のような超金融緩和策が続く異常時の中央銀行総裁には、経済の潮目を読む力と、いざというときの機動的な行動力が求められる。


 実業や金融業の現場にいれば、こうした能力は常に要求されるものだ。が、「透明性の強化」によって自らの政策判断の自由度を奪ってしまった学者出身の“Dr.イエレン”に、市場の期待を制御することができるのか──公聴会では資質を問う質問はほとんどなかったが、不安を感じた市場参加者は少なくない。