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産経新聞社員「発行部数水増し、原発賛成はカネになるから!?」 - ライブドアニュース

――どうして産経新聞は、原発推進に賛成するなど、いわゆる保守路線なのでしょうか?


A氏 ウチの大部分の社員は、他の新聞社に落ちたから入社しているわけで、保守的思想を持っている人間など、ほとんどいません。要はお金が欲しいから(笑)。部数はまったく伸びないし、160万部なんて大ウソじゃないでしょうか。長らく200万部と言っていましたが、その当時からウソだった。夕刊を廃止したのも、単に売れないから。


 大阪本社の話ですが、販売店押し紙(部数水増しのため、実際には販売されないが販売店に押し付ける新聞)を、本社前にどかんと積み上げたこともありました。産経は、そのときどきの財界のテーマやお困りごとについて、支援するようなシリーズ記事をぶち上げ、ちょうちん記事を書いて財界からお金を集めているのです。


「愛国」「保守」を標榜しつつ、今上天皇のお名前を誤記


――それが原発推進だったりするわけですね。


A氏 そうです。原子力キャンペーンなどは、よくやっていましたよ。社長に嘱望されながら、子会社の日本工業新聞社の社長に飛ばされた人物が、よく「オレだって朝日みたいにカッコよくやりたいけど、二番煎じでは売れない」と言っていました。しかし、読売にナベツネが登場して以来、産経の保守路線なんて問題外。良し悪しは別にして、ナベツネには志があって、社内の指揮命令系統にも規律がある。憲法改正試案みたいなマスコミとしてはタブーなことも平気でやる。産経には、そこまでの勇気と覚悟がありません。


 今年2月の「正論」のある記事中に、「昭仁皇太子の婚約をめぐる『皇室ブーム』は」と書いてありました。天皇陛下の名前「明仁」を「昭仁」と誤記しているのです。保守メディアとしては切腹ものです(笑)。産経の保守路線なんて、その程度のものなんです。


保守路線は商売


――そうすると、多くの場合、記者が自らの思想で記事を書いているのではなく、商売として会社ぐるみでやっているということですね。


A氏 昔、竹下内閣が消費税を導入するとき、個人的に消費税はまちがいだと思っていました。そこで私は、消費税反対の旗を振っていた旭化成の宮崎輝会長ほか、反対派の論調をどんどん紹介するようにしました。対談のような形をとって、あまり露骨にならないようにしてたのですが、そのうち企画を出しても通らなくなり、消費税のテーマは私の手から離れました。


 今だって、記者個人が積極的に自分から企画を立ち上げて「原発バンザイ」とやるわけがありません。そして、業界の親分・東電がゾンビ状態になっている今となっては、カネなんか出やしません。しかし、経団連原発推進の立場である以上、カネが出なくても、御用聞きとしてヨイショしておくわけですね。


 ある支局にいた頃わかったのは、産経の最大の読者層は、県警本部と自衛隊であるということ。県警にゴマすって、警察官表彰なんていうイベントをずっとやっている。私も手伝わされそうになりました。公安ネタはもらえるかもしれないけど、警察からお金は出ません。


フジテレビは「産経はもういらない」


――産経新聞は、フジサンケイグループですが、グループからの支援はあるのでしょうか?


A氏 フジテレビはかつて産経に対して、年間、表向き20億円、裏で50億円くらいの資金援助を行ってきました。表というのは、有価証券報告書に表れる広告料。裏は、イベント協力や新聞拡販などさまざまな形です。ところが、97年のフジテレビの上場以来、それがしにくくなり、産経は苦しくなりました。


 産経は長らく、大阪本社の稼ぎで東京本社の赤字を埋める構造でした。東京本社は夕刊フジとサンスポで食べていましたが、その夕刊フジ日刊ゲンダイに完敗で、食えるメディアがなくなった。


 そこで、産経はさまざまな資産を売り払ってしのいできました。例えば、一部上場のサンケイビルの株を10%以上保有して筆頭株主でしたが、資金捻出のため、それをフジテレビに渡しました。サンケイビルは今や、フジテレビを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングス連結子会社になっています。


 フジテレビからすれば、「産経新聞が持つ、唯一資産として価値のあるもの」を頂きましたというところでしょう。かつては、夕刊フジとサンスポももらってもいいかなという感じでしたが、もう赤字だからいらない、産経本紙ももちろんいらないというところでしょう。


 産経側には、「フジテレビが電波利権を保持するために、メディアとしてはテレビ局より格上の自分たち新聞社の力が必要なはずだ、という思い込みがある。しかし、フジテレビにしてみれば、すでに総務省民主党自民党と直接交渉できるので、産経はいらないというのが本音です。


東京新聞の草刈り場


――産経は八方ふさがりですね。


A氏 ここ数年は、売る資産も底をついて、信用力がないのに社債を発行しています。09年には大規模なリストラを行いました。50代以上の社員には選択定年制を導入して、150人が早期退職しました。若手から聞いた話では、東京駅と会社のある大手町駅の間は、地下鉄移動が経費で認められてないそうです。


 それから、タクシーもワンメーターの利用は経費として落とせないとか。目的地までワンメーターの710円で着いてしまったときは、仕方なく、料金が上がるまで目的地周辺を走ってもらったなんていう話もあるくらいです(笑)。そんな状況だから、優秀な記者が育たないし、どんどん辞めていく。


 東京新聞では、産経は草刈り場だと言われています。産経を辞めた奴が何人も東京新聞に入っている。産経出身者だけで野球チームができるだけじゃなく、リーグ戦ができるんじゃないかと(笑)。


――余談ですが、冒頭で「保守思想の人はほとんどいない」とおっしゃいましたが、少数ながらいるのでしょうか?


A氏 私は、社内で本当の右翼は2人しか見たことがありません。1人は新右翼団体「一水会」名誉顧問の鈴木邦男。彼は、自著の中で裏口入社だと書いています。まだウチに在籍時代、ソ連大使館への抗議運動で塀を乗り越え、逮捕され留置所に入れられたら、産経の人事部長が来て「大使館突入前日付の退職願に、ハンコを押せ」と言われたみたいです。要するに、悪いことをしたときには、会社をすでに辞めていたということになっているわけです。


 それから、早稲田には「国策研究会」という愛国的活動を行うサークルがあるのですが、もう1人はそのボス格の奴。名前は忘れましたが、広告か販売にいましたね。こんな奴と同じ会社なのかと当時思いました(苦笑)。

鹿内信隆 - Wikipedia