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【日曜経済講座】揺さぶられる貿易立国・日本 貿易赤字、過去最大 論説委員・井伊重之 - MSN産経ニュース

貿易立国・日本が足元から揺さぶられている。モノの輸出額から輸入額を差し引いた昨年の貿易収支は、過去最大の赤字を記録した。貿易赤字は3年連続だ。とくに昨年はアベノミクスで円安が進んだが、期待したほど輸出が伸びなかった。このまま貿易赤字が定着すれば、モノやサービス、金融を合わせた経常収支も赤字に転落する懸念がある。

赤字拡大の要因は主に2つだ。原発の相次ぐ稼働停止に伴い、火力発電向け燃料の輸入が増えたことがまず一つ。円安で輸入金額もかさ上げされた。この燃料輸入増によって貿易収支は約2兆6千億円悪化した。


もう一つが円安効果を生かし切れず、輸出が伸び悩んだことだ。

 円安で輸入価格が上昇すると、一時的に貿易赤字は拡大するが、時間の経過とともに円安効果で輸出数量が増え、最終的に貿易赤字は縮小に向かう−。これを「Jカーブ効果」と呼ぶが、今回の円安局面ではこの効果がほとんど表れていない。これには政府も首をかしげ、複数の専門家に分析を求めたほどだ。

もちろん1ドル=70円台を記録した超円高に対応し、工場の海外移転が進んだ影響が大きい。特に薄型テレビなどの映像機器の輸出台数は、3年前に比べて半減した。円安で好業績が続出する自動車業界でも、昨年の輸出台数は前年より減った。国内空洞化は確実に進んでおり、輸出を取り巻く構図は大きく変わったとみるべきだ。

 まずは拡大が続く貿易赤字を食い止める必要がある。それには安全性を確認した原発を早期に再稼働させることが肝要だ。燃料輸入の急増は貿易収支が悪化するだけでなく、発電コストの上昇で電気料金の引き上げにもつながっているからだ。これは家計への負担だけでなく、企業の国際競争力の低下にも直結する構図となっている。


 だが、中長期的にはやはり日本の輸出力の回復が不可欠だろう。政府が成長戦略で企業の海外向けインフラ輸出などを支援する姿勢を打ち出していることは歓迎したい。もっと日本企業の「稼ぐ力」を高め、競争力を強めなければならない。