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ECB理事会後のドラギ総裁の発言要旨 | Reuters

欧州中央銀行(ECB)は8日、主要政策金利であるリファイナンス金利を0.25%に据え置いた。


下限金利の中銀預金金利も0.0%に、上限金利の限界貸出金利も0.75%にそれぞれ据え置いた。

<ユーロ>


低インフレや依然として低水準にある経済活動を踏まえると、ユーロ高は理事会にとって深刻な懸念を呼ぶ問題だ。


(ECBが為替で協調行動を検討するかを問われ)20カ国・地域(G20)声明は、為替相場問題は共通の関心事項とうたっており、検討して見守っていく必要がある。われわれの場合で言えば、特に現在の低インフレ環境では、物価安定目標への影響は確かに存在する。


<追加緩和について決定せず>


本日は何も決定しなかった。その意味では、本日の討議は来月の会合の準備という側面が大きい。


<事前にコミット>


「われわれは決して事前にコミットしない」(という方針)はかなり前に終わっている。


<ECBの行動と6月のスタッフ予想>


この日の議論を踏まえ、理事会は次回行動することに違和感はないと感じているとわたしは思うが、その前に、6月初旬に公表されるスタッフ予想の内容を見極めたい。


予想されているインフレ率の推移には不満があるということで意見が一致する。行動に関するコンセンサスがあるが、6月初旬のスタッフ予想を確認してからだ。


<低インフレ>


低インフレが長期化し過ぎることは、中期的インフレ期待の定着が妨げられるリスクが増すことになる。これには、インフレの水準と低インフレの期間の長さを踏まえている。これまでも数回述べてきたように、この期間が長いほど、インフレ期待の定着が妨げられるリスクが増大する。


<非伝統的手段活用で全会一致>


理事会は、低インフレの長期化リスクに効果的に対応するため、使命の範囲内で非伝統的な手段も活用するとのコミットメントで全会一致した。


為替相場


(為替市場への介入が効果的か、そのような議論がこの日にあったかとの質問に)為替相場については議論した。為替相場は物価安定と成長にとって非常に重要。為替相場の上昇は低インフレの中では深刻な懸念を呼ぶ問題だ。


地政学リスク>


地政学リスクはユーロ圏に対して他のどの地域よりも大きな影響をもたらす可能性がある。これにはウクライナ情勢やロシアの経済状況も含まれる。


<外部の助言>


ここ数日間でわれわれは政治家や複数の機関から、ほぼあらゆることについて多くの助言を受けた。これについてはありがたく思っているが、条約上われわれは独立しており、独立が脅かされているとの懸念につながれば、ECBの信頼性が長期的に傷つく可能性がある。


<ユーロ圏景気回復>


ユーロ圏経済の緩やかな回復が、われわれのこれまでの予想通りに進むことを、入手中の情報が示し続けている。同時に、低インフレが長引き、その後欧州連合(EU)基準の消費者物価指数(HICP)が緩やかに上向くだけにとどまるという、われわれの見方と最近の情報は引き続き一致している。


ユーロ圏の回復リスクは引き続き下向きだ。


<下向きリスク>


回復は続いているが鈍いペースで、引き続き相当控えめだ。現在、一定の下向きリスクが存在する。世界的な需要減退の恐れや、非常に重大な地政学的リスク、為替相場に関係している。  


<インフレ見通し>


低インフレが長引き、その後HICPが徐々に上向くにとどまるという、われわれの見方と最近の情報は引き続き一致している。


中長期的なインフレ期待は依然、物価安定に沿って強固に抑制されている。理事会は、物価動向見通しへの上振れおよび下振れリスクは限定的で、中期的にはおおむね均衡していると認識している。


<EONIA>


ユーロ圏無担保翌日物平均金利(EONIA)市場の流動性が大幅に拡大した。金融機関が市場に戻りつつあり、分断が後退しているという点で前向きな兆しだ。別の表現では、金融機関がECBへの依存度を低下させ、よりお互いを頼っている。


<金融市場と政策金利


今後は、金融市場における経済動向を非常に注意深く監視していく。高度の金融緩和を維持しつつ、追加緩和が必要な場合、迅速に対応していく。


ECBの主要政策金利は長期間、現行水準またはそれを下回る水準にとどまると引き続き予想するとあらためて強く表明する。この見通しは、経済の幅広い分野での弱さ、高度の未利用生産能力、控えめなマネー・信用創造を踏まえ、全般的な抑制された中期的インフレ予想に基づく。


<追加緩和>


経済動向や金融市場を十分注視していく。高水準の金融緩和を維持し、必要な場合には一段の金融緩和政策で迅速に行動する。


地政学リスクを注視>


あらゆる地政学リスクの起こり得る影響や為替相場の動きを注視していく。