ウクライナでは、ポロシェンコ大統領が東部の停戦計画を打ち出したあとも、親ロシア派の武装集団はこれに応じる構えを見せておらず、各地で戦闘が続いています。こうしたなか、NATO=北大西洋条約機構のラスムセン事務総長は19日、ロシアがウクライナとの国境付近に、再び、少なくとも数千人の部隊を増派していると述べました。
また、ウクライナ政府も、ロシアが国境付近で陣地を構築していると発表しました。
ロシアは先月、国境付近の部隊を撤退させる動きを見せていましたが、ラスムセン事務総長は「残念な後戻りの動きだ」と批判しました。
一方、ウクライナのポロシェンコ大統領は19日、来週27日、ベルギーで開かれるEU=ヨーロッパ連合の首脳会議で、自由貿易協定を柱とする連合協定に署名する考えを明らかにしました。
この協定はEU加盟の前提となるもので、去年、ヤヌコービッチ前大統領が署名を見送ったことで、激しい抗議行動が起き、政権が倒れるきっかけとなりました。
これによって、ポロシェンコ大統領はEU加盟に向けた動きを加速させることになり、この協定に対抗策を取るとしてきたロシアの反発が強まることが予想されます。NATO=北大西洋条約機構のラスムセン事務総長は、19日、イギリスのキャメロン首相との共同会見で、ウクライナ情勢について、「われわれは、ロシアがウクライナとの国境付近で部隊を再び増派していることを確認しており、重大な懸念を持っている。われわれは、ロシアに対し、ウクライナ東部を不安定にさせる行動をやめ、ウクライナ政府と建設的に話し合うよう求めている」と述べました。また、キャメロン首相は「この問題は、来週のEUサミットで、ロシアにさらなる制裁が必要かを話し合うときに改めて取り上げられるだろう」と述べました。