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アングル:中国住宅市場は鈍化でも、米国型の崩壊の懸念薄い | Reuters

5月の中国主要都市の新築住宅価格は2年ぶりに前月比マイナスとなった。住宅ブームが無秩序な形で終焉を迎えるとの警戒感が現実味を帯びているが、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け)危機後の米国のような崩壊は起こらないのでは、とアナリストの一部は見ている。


今年に入って、中国の不動産市場がはっきりと鈍化しているのは事実であり、中国経済全体にとっても、主なリスクの1つとされている。


しかし、中国では住宅購入時の頭金比率が比較的高水準で、一般に家計の債務水準も低め。また、政府による支援もあることから、不動産市場の低迷は短期で終わる可能性がある。一部の専門家は、中国経済は今年下半期に安定化、不動産価格も回復する、との見方を示している。

18日に発表された5月の中国主要70都市の新築住宅価格は、前月比でマイナス0.2%。前年同月比では5.6%上昇と、13カ月ぶりの低い伸びとなった。前月比では、35都市でマイナスを記録した。

トラステッド・ソーシズのエコノミスト、Bo Zhuang氏は「中国で破壊されていない唯一のバランスシートは、家計のバランスシートであり、これが今、最も健全なバランスシートだ」との見方を示している。


国際通貨基金IMF)も同意見だ。4月に公表されたIMFの報告書によると、中国の家計債務の対国内総生産(GDP)比率はおよそ12%と、アジア11カ国・地域で4番目の低さとなった。


最も高いニュージーランドとオーストラリアでは同比率が90%を超えている。


中国では、最初の住宅購入時の頭金比率が30%、2件目購入時は60─70%に規定されている。また、デフォルトしても返済義務は続くという法律があることから、銀行は住宅ローン債権を基も安全な資産ととらえている。


よって、住宅価格が急落すれば銀行の不良債権が増え、中国の金融セクターが揺らぐとの懸念は大げさなのかもしれない。

中国のGDPの約15%を占める不動産市場にリスクがないわけではない。


中国では住宅建設も今年、大幅に減速しており、雇用や消費への影響が懸念されている。


不動産投資が鈍化すれば、打撃は経済全体に及びかねない。住宅価格が急速に下落すれば家計の富が失われ、信頼感や消費にも影響する。


統計によると、民間セクターが栄え豊かな都市として知られる温州では、5月の住宅価格が前年比4%も下落。大きな打撃を受けている。


イオニア・インベストメンツの新興市場ファンドマネジャー、Yerlan Syzdykov氏は「中国政府が行動していることが安心材料。政府は現在起きていることに無関心ではない」と指摘。「政府は市場の過熱鎮静化を望む一方、成長を阻害することは望んでおらず、(政策の引き締めと拡大を繰り返す)ストップ・アンド・ゴー政策をとっている」との見方を示した。


中国では今年になって減速が始まるまでは、住宅価格が急上昇しており、政府は市場の過熱状態を抑制するための措置を打ち出していた。

中国ではなお、賃金の伸びが住宅価格の上昇率を上回っている。都市部・農村部の平均収入は昨年、10─12%増加した。不動産価格の上昇率の10%と同じか、速いペースで伸びているということになる。


ガベカル・ドラゴノミクスのエコノミスト、Rosealea Yao氏は「景気循環に伴う調整。足元に崩壊の兆しはない」との見方を示した。