https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

「DNA鑑定は誤り」再審請求へ NHKニュース

再審を請求するのは、およそ20年前に女性に乱暴した罪に問われた中部地方の男性です。
男性は逮捕直後から一貫して無罪を主張しましたが、現場の状況に加えて、当時のDNA鑑定で、現場に残された体液と男性のDNAの型が一致したことが決め手となり有罪が確定しました。
男性は現在は出所していて、ことし弁護士が本人の口の中の細胞を使い、現在の技術でDNA鑑定をやり直した結果、「男性のDNAの型は犯人と一致しない可能性がある」という結果が出たということです。
このため弁護士は「当時の鑑定結果は誤りで有罪の根拠が揺らいだ」と主張して今月中にも再審請求を行う方針を決めました。
当時のDNA鑑定は平成元年に導入され、「指紋に匹敵する画期的な証拠」などとも言われましたが、現在よりも精度は大幅に低く、4年前に再審で無罪が確定した「足利事件」では再鑑定の結果、鑑定結果の信用性が否定され無実と判明しました。
当時のDNA鑑定の手法が使われたのは平成6年までで、法務省は4年前に国会で「この鑑定結果が決め手の1つとなって有罪になった人は、足利事件を含め8人いる」と答えていますが、今回の男性が含まれているかどうかは明らかにしていません。
また法務省は当時のDNA鑑定について、「現在よりも精度は低いものの鑑定の信頼性そのものが否定されたわけではない」と説明しています。
元裁判官で法政大学法科大学院の門野博教授は、「ほかの事件でも間違いが起きていた可能性があると考えるべきだ。検察は、みずから再鑑定などを行って検証してほしい」と指摘しています。

今回の事件で、およそ20年前に行われたDNA鑑定の方法は、「MCT118法」と呼ばれるもので、平成元年に導入されました。
その精度は、同じDNAの型を持つ人は多い場合で「数十人から数百人に1人」程度とされ、現在の「4兆7000億人に1人」と比べて、非常に低いものでした。
特に平成6年まで使われた鑑定の方法ではDNAの型を判定する目盛りが精密ではなかったため当時から誤りが起きる危険性を指摘する専門家もいました。
平成2年に栃木県で女の子が殺害された「足利事件」では5年前に新しい技術でDNAの再鑑定が行われた結果、当時の鑑定結果の信用性が否定され、再審で男性の無罪が確定しました。
法務省は、4年前に国会で、同じ方法での鑑定結果などが決め手となって有罪となった人は、足利事件を含めて8人いると答えています。
元裁判官で法政大学法科大学院の門野博教授は「当時の鑑定が不十分なものだったことは足利事件などから明らかだ。鑑定に誤りがあったとすれば、無実の人を有罪としたことと真犯人を逃したことの2つの不正義が行われた可能性があり、検証が必要だ」と指摘しています。

再審請求を行う男性は、逮捕直後から一貫して無実を訴えていました。
逮捕されて勾留されている間に思いを記したノートには当時のDNA鑑定の結果について「自分はやっていないのに一致するはずがない」などと書かれています。
裁判でも男性側は無罪を主張しましたが、裁判所は「現場の状況に加えDNA鑑定の方法に問題はなく十分信用できる」と指摘して、有罪が確定しました。
裁判で男性を弁護し、「足利事件」でも再審請求を行った佐藤博史弁護士は当時、DNA鑑定が決定的な証拠のように過大に評価されていたと指摘しています。
そのうえで、「再審請求を通じて現場に残された犯人のDNAも再鑑定を行い、男性と一致するかどうかを現在の技術で詳しく調べ直してほしい」と話しています。