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焦点:鮮明になった米の「ドル高受容」、裏に潜むバブル崩壊の導火線 | Reuters

財務省米外交問題評議会(CFR)が「ドル高受容」のシグナルを送り始めた。量的緩和(QE)終了を目前に控え、金融政策の枠組みが変化する中、自然な帰結としてのドル高をなぜ、あらためて「受け入れる」とアピールしているのか──。背景には、QEがもたらした派手な資産価格上昇とバブル崩壊に対する懸念があるとみられる。

米外交問題評議会(CFR)に属する同所長によれば、これは米国が多少の犠牲を払っても「これらの地域が安定し、健全な成長を遂げることが、非常に重要だと判断しているからだ」という。ニューヨークタイムズが2日付で報じた。

市場の受け止め方はどうあれ、米国が非伝統的金融緩和を終え、金融政策のフレームワークが変わりつつある中で、ドル高が不可避であることは、だれもが認めるところだ。

米国の本音はどこにあるのだろうか。


「米国はドル高を放置せざるを得ない。なぜなら、下手にけん制すれば、調整色が強い米国株のクラッシュを招きかねず、アメリカが最も恐れるシナリオの導火線に火をつけることになるからだ」と、前出のファンド・マネージャーは言う。


米連邦準備理事会(FRB)高官も認めるように「米国の金融引き締めに際しては、何が起こるかわからない。資産バブルを維持しながら、金融市場に大きな混乱を招かずに、居心地の良い状況で引き締めに向かうには、ドル高が必要だ」とマーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表、亀井幸一郎氏は言う。


ドルが強い方が、リパトリエーション(資金の本国還流)のフローや外国資本の流入で、バブルがサポートされやすい、と亀井氏は付け加える。


前回のルー長官発言は、米国株の高値警戒感が広がる中で伝わった。実際、その2日後の9月19日、ダウ.DJIとS&P500指数.SPXは過去最高値を記録した。 


今回の発言は、両株価指数がそろって1%超下落したタイミングで伝わっている。


米国株の調整懸念は、米国内でより鮮明になっている。


ロイターが米国の機関投資家を対象に実施した9月の国際分散投資戦略調査では、株式の推奨保有比率が金融危機以降で最低の水準に低下し、キャッシュの比率が上昇した。「米国の株式バブルの崩壊は既に始まっている」(米機関投資家)との見方も出ている。

米国株のソフト・ランディングを切望する米財務省や外交筋に比べて、やや「政治色」が薄いのがFRBの面々だ。


ニューヨーク連銀のダドリー総裁は9月22日、ドルが大幅に上昇すれば、通商面の実績が悪化し、経済成長に影響をもたらすと発言し、米FRB高官として異例のドル高けん制をした。


同総裁は「ドルの大幅上昇はインフレを抑えるため、我々が2つの目標を達成することが一段と困難になる。このことを考慮するのは当然だろう」と述べた。


ダドリー発言の背景には、9月21日にオーストラリアのケアインズでの20カ国・地域(G20)財務相中央銀行総裁会議が発表した共同声明で、ドル高への言及がなかったことがある。


当時、ドルは109円半ばと2008年8月以来の高水準となっていたが、G20声明文では、過度な変動は成長に悪影響を与え得るとの定番の文言が入らなかった。


「普段は為替について発言しないFRB高官の間でも、さすがにドル高のペースを一度けん制しておかなければならないと思ったのだろう」と、SMBC日興証券・米国担当シニアエコノミスト、丸山義正氏は言う。


ドル高は、非伝統的金融緩和からの出口戦略の渦中で、新興国や資源国でのポジションの巻き戻しを伴って進行してきた。


「結果的にドル高になるのは、米国も仕方がないと思っているだろう。ただ、急激なドル高は、企業の調整が追いつかないので、回避したいはずだ」と丸山氏は続ける。


一方、タカ派で知られるダラス連銀のフィッシャー総裁は9月29日、「ドル高は米国経済に対する信頼」と述べているが、アトランタ連銀のロックハート総裁は25日、ドルは独歩高の様相を呈しており、それがドルへの信頼を示すのか、海外経済が脆弱なため消去法的に買われているのか、区別することは難しいとの見解を示した。

基軸通貨国である米国は、本来、為替に「鈍感な国」だと見られているが、日銀はどうだろうか。


日銀の黒田東彦総裁は7日の金融政策決定会合後の記者会見で、9月以降の急激な円安について「テンポが速いという見方や、行き過ぎたもの(円高)の是正、日米金融政策の違いというひと人もいる」と指摘。「これまでのところ、行き過ぎた円高の是正や日米の金融政策の違いに注目した自然な動き」とした。


一方、 安倍晋三首相は7日午後の参院予算委員会で、円安のデメリットについて、ガソリン・燃料費の上昇で家計や中小規模の企業に負担になるとの見解を示した。一方、一般論と断ったうえで、原材料を輸入している企業はマイナスの影響を受けるものの、輸出企業にはプラスであり、円安の効果は両面あると指摘した。


市場では「安倍政権には円安誘導で成功体験があるだけに、今後も円安にせよ、円高にせよ、巧みに市場を誘導していけるという過信があるのではないか」(金融機関)との声が出ている。