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「オバマ電撃訪朝」で再び破綻する日朝外交(連載「パックス・ジャポニカ」への道) - 原田武夫国際戦略情報研究所公式ブログ

かつては鈴木宗男、最近では安倍晋三といった議員たちは皆、「同じパターン」である。


それでも最終的に「本来の問題が解決する」というのであれば百歩譲って赦すべきなのかもしれない。だが、決してそうではないことは歴史が証明しているのだ。そして今回、我が国の対北朝鮮外交は明らかにそうした落とし穴に嵌りつつある。


そもそも日朝間で根本的な認識に「ズレ」があり、そのズレをあたかも無かったことの様に国内に対しては説明しつつ、交渉を前に進めようと我が国の安倍晋三政権の側がしてきたことは既に今年(2014年)初夏の段階でこのブログにおいても指摘したとおりだ。つまりこの段階から北朝鮮側は「戦前・戦中から北朝鮮に暮らす日本人を含めた」残留日本人問題を解決し、それをもって日朝関係全体を総決算したいとしていたのに対し、我が国の側は相も変わらず「拉致問題が優先」と述べてきたというのがここに来て行われてきている日朝交渉の現実であることは明らかなのである。ところがこれをあえてゴリ押ししようとしたため、結果として暗礁に乗り上げてしまった。そして前者の意味での「実際の問題」がマスメディアにリークされるに至ってしまい、我が国の側は立ち往生してしまっている。


私がこれまで様々な著作や分析を通じて述べてきたとおり、北朝鮮という国家の本質は先の大戦の末期、米国が「韓国」という(当時で言えば)傀儡国家を創る見込みが明らかとなる中、我が方の旧関東軍ソ連(当時)が「緩衝国家の設置」で合意したことにある。無論、これは非公開情報ベースの話であるため表向き公表された「史料」などというものは存在せず、ただただ閉じられた人的ネットワークの中で口伝によって伝えられるのみの話である。だが、「事実がそうであること」は北朝鮮のトップへとやがてのぼりつめた金日成実弟・金英柱が他ならぬ「関東軍の通訳」であったこと(ちなみに同人は今年(2014年)3月10日に最高人民会議で「投票」したと報道されており、未だ政界において活動している)、あるいはもっと大きな話で言うと北朝鮮が仕掛けた朝鮮戦争によって我が国は復興インフレによる破綻から逃れ、むしろ高度経済成長への道のりをつかんだといった事情からも明らかなのだ。

ここに来て大きな動きがこの関連で生じている。21日(平壌時間)、北朝鮮清津で聖書を置いてきたとして拘束た米国人ジェフリー・ファウルを突然釈放したのである。約半年の拘束の後の出来事であり、しかもこれまで通例であった「米国からの特使の派遣」を経ずしての釈放に国際社会では静かなどよめきが起きた。

我が国の安倍晋三政権にとって考えられる最悪のシナリオ。それは11月に開催されるアジア太平洋経済協力会合(APEC)北京首脳会議にひっかける形でオバマ米大統領が「電撃訪朝」を実現してしまうことである。中東で「イスラム国」に対する軍事攻勢を強め、「ノーベル平和賞受賞者どころか、大量殺戮者ではないか」との非難すら飛び出しているオバマ米大統領としては、平和の使徒としてのイメージを北朝鮮との大団円によって是非とも演出したいに違いない。

「そうであること」は27〜30日に実施される我が国訪朝団の結果から自ずから明らかになるはずだ。私は外務省北東アジア課北朝鮮班長を最後に自主退職して以来、北朝鮮問題の本質の一つが米国こそ我が国を抜きに北朝鮮へ接近しようとしている」と繰り返し指摘してきた。その意味で時代の転換点が到来しているわけだが、同時にそれは我が国に生きる私たちにとってますます未来への道のりが険しくなることを意味している。誰がこの困難を打破する「知恵」と「行動力」を持ち合わせたリーダーとして登場することになるのか。―――それがポスト・アベノミクスに向けたもう一つの本当の焦点なのである。

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