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ズービン・メータの第九交響曲 〜山田真一(音楽評論家):What's New:NBS日本舞台芸術振興会

 メータの第九は、数あるメータの得意レパートリーの中でも、際だった存在だ。それは単に、シラーの詩の内容や、ベートーヴェンの想いの具現化だけにあるのではない。メータは、百人の楽員を越えるようなオーケストラ作品、合唱付きの作品、そしてオペラと、規模が大きい楽曲になるほど、音楽的真価を発揮する。メータにとって第九はまさに、そのような作品なのである。
 宇宙的とも言われる音楽の広がり。細かいモチーフから高層建築を建設するような音楽の組立。ベートーヴェン以前の時代では使われなかった音域への挑戦など第九には、優れた指揮者でないと真の名演ができない様々な困難が用意されている。メータはそれを正面から取り組み、音楽による巨大な伽藍を創造するかのように指揮する。
「苦悩と勝利、これがベートーヴェンの音楽の中核にある。彼はこの形の音楽を様々なジャンルで繰り返し使った。そして、大事なシンフォニーの最後の作品で、再び、自分が作りだした勝利のテーマを、最も優れた楽曲として残したのです。そこに第九の価値がある」(メータ)
 3年前、身を以て大地震を東京で体験し、原発事故にも全く動じることなく音楽活動を続けようとしたメータの音楽に対する情熱と、危機を前にした人々への強い想いが、今回の第九演奏でも、きっと蘇るだろう。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20141029#1414579188
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20101024#1287919333
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20091229#1262041949