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アル中ハイマーの独り言: "天秤の魔術師 アルキメデスの数学 " 林栄治, 斎藤憲 著

人間の叡智は、いかに無駄なプロセスを辿ってきたことか。その多くは宗教戦争や政治紛争の類いで抹殺されてきた。古代知識の宝庫であったアレクサンドリア図書館は何度焼かれたことか。あるいは、結論だけ知っていても、それを存分に使いこなせなければ、無駄な知識に終わる。知識とは、なんらかの目的や欲望から生じるものであろう。それを編み出す過程の奥に秘められた哲学を学ぶことは、知識を深遠なものにするとともに、応用力を高めることになる。
しかしながら、発見や思考のプロセスが疎かにされるのは、いつの時代も同じ。

「方法」の序文には、挑戦的な一文があるという。
アレクサンドリアにいる君たちや将来の学者に、私の方法を利用するだけの能力がありますかな。」

注目したい思考法は、比例関係を重視していることである。ギリシア数学の理論体系は、面積や体積を表す公式を導くことではなく、既知の身近な図形との比較によって大きさの関係を明らかにすることだった。

そこで、相似形や等積定理といった概念が鍵となる。
最も重要な概念は、図形の切り口とその総和の関係を、つり合いの原理に持ち込んでいることである。細かく刻んだ図形を足し合わせとして眺めれば、自ずと重心が計測でき、物事の関係が見えてくる。本書は、この思考法を「仮想天秤」と呼んでいる。面積の切り口は直線となり、体積の切り口は面となり、アルキメデスは次元を落とす術を知っていたことになる。

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