特定秘密保護法施行 公文書管理監に佐藤隆文氏 NHKニュース
去年12月に成立した特定秘密保護法は、特に秘匿が必要な安全保障に関する情報を特定秘密に指定して保護するもので、漏えいした公務員らには最高で10年の懲役刑を、漏えいをそそのかした者にも5年以下の懲役刑が科されます。
また、特定秘密の指定期間は最長5年で、大臣など行政機関の長の判断で更新できますが、30年を超える場合は内閣の承認を得なければならず、一部の例外を除いて60年後までにはすべて公開するとしています。
政府は、特定秘密保護法の施行に向けて、ことし10月に、特定秘密を指定できる役職を、防衛省や外務省など19の行政機関の長に限るとともに、特定秘密の対象として、極秘を前提に外国政府から提供された情報や、自衛隊の警戒監視活動など、55の「細目」を明記した運用基準などを決定しました。
そして、政府は10日、法律の施行にあわせて、特定秘密の指定が適切かどうかを判断する機関として、内閣官房に、官房長官をトップとし関係省庁の事務次官級でつくる「保全監視委員会」を設置しました。
また、独立性の高いチェック機関として内閣府に置く初代の「独立公文書管理監」については、当初、最高検察庁の検事の起用を検討していましたが、最終的に調整を行った結果、法務省の法務総合研究所研修第一部長の佐藤隆文氏を充てる人事を発表しました。
世耕官房副長官は記者会見で、「これまで日本には、国家として当然あるべき安全保障上の重要機密情報を管理する統一的な法的ルールがないという問題点があった。特定秘密保護法によって共通のルールが定められ、わが国と国民の安全を守るための機微な情報を外国とやり取りし、政府内で共有し、保護するための基盤が整うことになる」と述べました。
そのうえで、世耕官房副長官は、「特定秘密の指定のルールが明確になり、秘密の取り扱いの客観性と透明性が高まることになる。これまで各省庁がそれぞれに行っていた秘密指定をチェックする体制も新たに確立された。政府として、法律の適正な運用に努めていきたい」と述べました。
また、記者団が、「国民の知る権利が損なわれるおそれが残っていると指摘されている」と質問したのに対し、世耕官房副長官は、「去年12月の法律の成立以降、政府としては、『情報保全諮問会議』や国民の皆さんからの意見を踏まえながら、関係政令や運用基準の策定、広報活動なども行って、各種施行準備を慎重かつ丁寧に進めてきたつもりだ。懸念があることも理解しているが、政府としては、実効的で適正な法律の運用をしっかり積み重ね、運用状況も丁寧に説明しながら、施行状況を国会に報告し、公表をすることなどを通じて、『国民の知る権利が損なわれるようなことは絶対ない』ということをしっかり示していきたい」と述べました。
さらに、世耕官房副長官は、特定秘密を扱う公務員らを対象に行う適性評価について、「調査事項を限定したうえで、プライバシーに配慮して実施することになっており、プライバシーを不当に侵害するおそれはない」と述べました。