ECB量的緩和、二重のリスク共有を検討=関係筋 | Reuters
欧州中央銀行(ECB)は量的緩和(QE)に踏み込むうえで、ECBが国債を買い入れ、ユーロ圏全体でリスクを共有すると同時に、各国中銀による国債買い入れも行うという、二重のリスク共有方法を検討している。事情に詳しい関係筋が明らかにした。
関係筋によると、ECBが今月22日の理事会を前に、消費者物価の下落や、デフレリスクの拡大に対応すると決めた場合に取り得る手段として準備している措置にQEが含まれている。
QEについてはいくつかの選択肢が検討されており、決定には至っていない。ドイツ連銀はECBが国の信用リスクを引き受けることに反対しているため、ECBはドイツの懸念を払しょくさせると同時に、投資家も納得させる強固なQEプログラムの構築に苦心している。
市場関係者や多くのエコノミストは、ECBが無制限の資金供給を打ち出さない限り、ユーロ圏経済の活性化は達成できないとの見方を示している。
ECB理事会は、7日に定例の金融政策以外の問題を話し合う会合を開催し、夕食を取りながら現状について協議した。1人の中銀筋は、QEの必要性について、「これまでよりも明らかに意見の一致がみられた」と指摘。
ただ、QEの額や、無制限にするかどうか、リスクを共有するかどうかなどの問題については見方は依然として分かれていると述べた。
もう1人の中銀筋によると、協議された選択肢の1つは、ECBがQEプログラムの一定の割合について国債を買い入れ、デフォルトが発生した場合はユーロ圏各国がECBへの出資割合に応じてリスクを共有し、プログラムの残りの額は各国の中銀がそれぞれの責任で買い入れを実施するという案だった。
同筋は、「7日にこの選択肢に対しては基本的に反対がなかった」と明らかにした。「この選択肢ならば、ドイツ連銀が賛成する可能性がある」と述べた。ただ、決定は下されていないとした。
金融危機の最中に導入した証券市場プログラム(SMP)ではECBと各国の中銀はギリシャやアイルランド、ポルトガルなどの国債を購入。将来発生する利益や損失はECBへの出資割合に応じて共有するという前提があった。
同様の措置が再び選択肢となっているわけだが、ドイツ連銀は各国中銀が自国の国債を買い入れる、すなわち信用リスクが当該国にとどまるようにすることを主張しており、この選択肢で納得する可能性は低い。
関係筋の1人は2重のリスク共有を可能にするQEについて、「大部分が各国中銀による買い入れとなる」と指摘。
もう1人の関係筋は、ECBによる買い入れの割合は全体の20─40%程度になる可能性があると述べた。
QEプログラムの規模について同筋は、概算で5000億ユーロになると述べた。ただ、インフレ期待を押し上げるために必要な規模については、現在も算定が続けられていると強調した。
他の複数の関係筋は、ECBが月ごとの買い入れの上限を設けると同時に、買い入れの期限やQEプログラムの全体の額を設定しない可能性があると指摘した。