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神学の思考

神学の思考

佐藤優 【日本人のためのキリスト教神学入門】

佐藤優 【日本人のためのキリスト教神学入門】 : 第110回 教会論(2−2)

 マルクスは、比較的初期に宗教に対する関心を失いました。これに対して、エンゲルスは、初期から晩年まで一貫してキリスト教に対して強い関心を持ち続けました。柄谷行人氏はこの点にも着目します。


〈佐藤 エンゲルスにしたって、『原始キリスト教の歴史』というのは後半に書いた良書ですよね。


柄谷 エンゲルスは初期の『ドイツ農民戦争』(一八五〇年)でも、宗教的指導者トマス・ミンツァーを先駆的コミュニストとして大々的に評価しました。「宗教は民衆の阿片」という言葉がありますが、マルクスがそういったのは、宗教を批判する啓蒙主義的知識人への批判という文脈においてです。宗教を批判するかわりに、民衆が宗教を必要とするような現実こそを批判せよ、そのような社会を変革せよ、という意味でした。


佐藤 当時のその「宗教は民衆の阿片」という言葉はよく使われていて、よくあるキャッチコピーを使っただけの話でしょう。それから、エンゲルスの場合は、マンチェスターにいたこともあってカルヴァンの影響を相当受けています。