書評・エッセイバックナンバー | 波 -E magazine Nami-|Shincho LIVE!(新潮ライブ!)| 新潮社のデジタルコンテンツライブラリー
トム・クランシーがジャック・ライアン・シリーズでめざしたのは結局のところ「祖国の安全保障にとって脅威となる国や組織との戦いを娯楽小説という形で緻密に描き、今どういう行動が必要なのか読者に楽しみながら考えてもらう」ということだったのだと思う。
クランシーが描くのは、あくまでもアメリカの国益、国民を護る戦いであり、その点を注意する必要があるが、『米中開戦』『米露開戦』の二作は日本の読者にも祖国の安全保障問題を考えるきっかけを与えてくれる貴重な娯楽小説と言えるだろう。