https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

論説の目:すれ違う米露の「正義」=大木俊治 - 毎日新聞

 米国の国際政治学者、ミアシャイマー・シカゴ大教授は、昨秋の米誌「フォーリン・アフェアーズ」に寄稿した論文で、大国は近隣地域に別の大国が介入してくることに神経質になるものであり、危機を招いたのは北大西洋条約機構NATO)の東方拡大やウクライナ民主化運動の支援などでロシアを挑発した米国側だと主張した。オバマ政権は自由と民主主義を広めれば国際社会が平和になると「錯覚」し、それを勢力圏への介入と捉えるロシアの思考を理解していなかったという見方だ。同教授は、ロシアは「現実主義」、米国は「リベラルな世界観」という、全く異なる国際理解の前提に従って行動しているのだと論じている。


 この見方からすれば、ロシアが支援する親露派とウクライナが2月中旬に調印した停戦合意は、双方の力が均衡した現状で収拾を図るというロシアの「現実主義」に沿った解決の試みと言えるだろう。プーチン氏と交渉を重ね、紛争仲介に尽力してきたドイツのメルケル首相は、ウクライナ側の軍事的劣勢を認め、紛争の拡大と犠牲者の増加を止めるためにウクライナ側に譲歩をのませたとされる。メルケル氏は昨春、「プーチン氏は我々とは別の世界にいる」と嘆いたという。独誌「シュピーゲル」は、その彼女が今回、価値観の違いを棚上げして「現実主義」に転換したのだと分析している。


 米オバマ政権はこの現実を受け入れて当面立ち止まるのか。あるいはあくまで「不正義」を許さず、さらに深く対決に踏み込むのか。プーチン氏は米国の出方を見ながら、ウクライナから米国の影を駆逐し、1年前の政変を「リセット」するための次の策を練っているに違いない。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150302#1425292584
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150211#1423650811