わたしたちのカードには、このような野外科学におけるもののほかに、もうひとつの系譜があった。一九五〇年ころから、京大の人文科学研究所で、桑原武夫教授を中心に、「ルソー研究」の共同研究がはじまった。これは、その後の共同研究の模範になったもので、人文科学における研究方法としては画期的なものだっただろう。おなじ方法がのちに、「フランス百科全書の研究」の共同研究班にうけつがれ、わたしもそれに参加したのだが、これらの共同研究において、たくさんの研究者たちをむすびつける糸の役割をしたのが、カードであった。
このときのやりかたは、共同研究の参加者の全員が、おなじカードをつかい。おなじ方式でかくことによって、巨大な共有財産をつくろうというのであった。「百科全書」の原文はもちろん、さまざまな読書の結果、考察、おもいつき、そのほかなんでもいい、どんどんかけ、というのである。
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150331#1427798714
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150216#1424083036