理化学研究所脳科学総合研究センターのグループは、日本将棋連盟などと共同で、アマチュアの3段と4段の棋士17人に脳の血流を調べるMRI装置に入ってもらったうえで、将棋の盤面を見せ、どのように脳が働くかを調べました。
その結果、次の一手で攻めるか守るかという二者択一の判断には、帯状皮質と呼ばれる大脳の一部などが使われていましたが、どのような手を指すかという具体的な思考にはそれ以外の部分が使われていることが分かったということです。
攻守を決める大きな判断は、具体的な手を比較することなく行われていることになり、研究グループは、こうした判断が過去の経験による学習に基づいて直観的に行われていることが分かったとしています。
理化学研究所脳科学総合研究センターの田中啓治チームリーダーは「限られた時間で判断を迫られたときに、毎回、具体策の精査はできないが、人間は経験を積むことで“あてずっぽう”ではない意思決定ができる。さらに研究が進めば、判断が難しい複雑な経済状況での経営判断などで役に立つ技術になる可能性がある」と話しています。