〔アングル〕地銀で独自の「経営諮問委」、社外の声聞く工夫で金融庁も評価 | Reuters
地方銀行がガバナンス強化策として設けている「経営諮問委員会」(アドバイザリー・ボード)に注目が集まっている。任意の機関だが、学者や地元の経営者など社外からメンバーを招き、外部からの意見を経営に取り入れるのが目的だ。社外取締役の選任などで出遅れが目立つ地銀業界だが、社外取締役にふさわしい人材発掘の場として機能することも期待している。金融庁も前向きに評価しており、今後、経営諮問委設置の動きが広がっていく可能性もある。
アドバイザリー・ボードを設けているのは、静岡銀行 や紀陽銀行 、池田泉州ホールディングス など。アドバイザリー・ボードは任意で設置できる点が特徴で、制度設計は自由だ。ボードのメンバー構成や審議内容、開催頻度も、各行が独自に決めている。
静岡銀は、アドバイザリー・ボードを社外有識者5人、社内取締役3人、社外取締役1人、社外監査役1人の計10人で構成。人事や報酬などの重要テーマも議論する。
紀陽銀は、2006年の設置以降、開催日や出席メンバー、議事要旨などのすべてをホームページ上で公開。昨年12月の会合では、メンバーから「紀陽銀行と言えば、『人口が関西で一番少なく、人口の減少スピードも一番早い和歌山の銀行』というイメージ。当行が旗頭となり官民一体で和歌山を盛り上げていくことが必要だ」などの厳しい意見も出た。
アドバイザリー・ボードを採用する銀行の広報担当者は「社外の方から忌たんのない意見をもらっている。外部の意見を取り入れながら、その都度、サービス改善などを進めるサイクルが出来た」と話す。
コーポレートガバナンス・コードの導入で、地銀にとって切実な問題は、社外取締役の確保だ。社外取締役は課せられている責任も重いうえに、月に1回以上開かれる取締役会に出席する時間のやりくりも容易ではない。任意のアドバイザリー・ボードならば、柔軟に対応できるメリットがある。
さらに、経営への有意義な助言を与えてくれそうな将来の社外取締役候補を「発掘」する場としての機能も持つ。ある地銀の関係者は、アドバイザリー・ボードの委員から将来の社外取締役への登用を検討していると明かす。
こうした取り組みに対し、金融庁も前向きな評価だ。遠藤俊英・検査局長は16日に行われた日銀のセミナーで「通常のコーポレートガバナンスの枠組みの外に作っているが、そこで重要なコミュニケーションが行われて、良い人材は社外取締役に選任していく試みが、いくつかの地銀で行なわれている。非常に良いと思う」とコメントした。
もっとも、「器」だけをつくればガバナンスが向上するわけではない。遠藤局長は、社外の意見を取り入れようとする経営トップのリーダーシップが重要だと話している。
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150424#1429872488
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150425#1429959418
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150319#1426762247