アメリカを公式訪問している安倍総理大臣は、日米首脳会談に先立って、ホワイトハウスで行われた歓迎式典に参加しました。
この中で、オバマ大統領は、「アメリカ国民を代表して、世界の中で最も親しい同盟国の1つである、日本の安倍総理大臣と夫人をお迎えできることは大きな名誉だ」と述べました。そのうえで、オバマ大統領は、「1960年にアイゼンハワー大統領は、安倍総理のおじいさまである、岸総理大臣をホワイトハウスに迎えて安全保障条約に調印し、それは、こんにちまで続いている。日米同盟は、自由で公平な貿易を進め、それに世界中のすべての人たちが公平な機会と人権を与える、役割を果たしている」と述べました。
続いて、あいさつに立った安倍総理大臣は、「私が政権を担ってから、日米同盟の再生を外交政策の最優先事項としてきた。今、両国関係はかつてないほど強固になり、同盟は力強く復活した。この2年間の集大成としてアメリカを公式訪問することができ、大変うれしい」と述べました。そのうえで、安倍総理大臣は、「日米関係の発展は、長きにわたる両国の協力の歴史なくして成し遂げられるものではない。世界はこれまで以上に多くの課題に直面しており、日米関係を不断に発展させながら、アメリカとともに課題解決の先頭に立っていく」と述べました。
歓迎式典では、19発の礼砲とともに両国の国歌が演奏され、両首脳はそろって閲兵した後、あいさつしました。
オバマ大統領は「今回の安倍総理大臣の訪問は日米の友情を祝う機会です。きょうはアメリカの、特に若者たちが、日本から学んだ大好きな空手やカラオケ、マンガやアニメ、それに絵文字の存在に感謝の意を示すチャンスでもあります」と述べ、アメリカでも「エモジ」と呼ばれ、若者たちの間で流行している携帯メールの絵文字について触れました。
Watch President Obama's opening remarks at a press conference with Prime Minister Abe of Japan.
President Obama's comments on U.S.-#Japan Security Alliance at today's press briefing with PM Abe. #USAJapan70
There are many Japanese cars in America.
Let's make sure there are more American cars in Japan. #LeadOnTrade #TPP
日米両政府は、安倍総理大臣とオバマ大統領の首脳会談に合わせて、「日米共同ビジョン声明」を発表しました。
この中ではまず、日本とアメリカの関係について、「第2次世界大戦終戦から70年を迎えることし、2国間関係は、かつての敵対国が不動の同盟国となり、アジアや世界で共通の利益や普遍的な価値を促進するため協働しており、和解の力を示す模範となっている」としています。そのうえで、今回の日米首脳会談について、「日米のパートナーシップの変革における歴史的な前進を画するものだ」としています。
また、TPP=環太平洋パートナーシップ協定について、「2国間の交渉で大きな進展があったことを歓迎し、より広い協定の迅速かつ、成功裏の妥結を達成するため、ともに取り組むことを再確認する」としています。
一方、新たな日米防衛協力の指針、ガイドラインについては、「日米同盟を変革し、抑止力を強化し、両国が新旧の安全保障上の課題に長期にわたって対応していくことを確実なものとする。日本が地域やグローバルな安全への貢献を拡大することを可能にし、この地域やほかの地域で両国が、海洋安全保障を含む事項について、より緊密な形で取り組むことを可能にする」としています。さらに、「両国は、気候変動や貧困、感染症などグローバルな課題のため協働していく」などとしたうえで、アメリカは、「日本を常任理事国に含む形で、国連安全保障理事会が改革されることに期待している」としています。
そして、声明の最後では、「力や強制による一方的な現状変更の試みによって、主権や領土の一体性を損なう国家の行動は国際的な秩序に対する挑戦となっている」としたうえで、「70年間にわたる両国のパートナーシップの強さが、今後数十年間の成功を確かなものにするとして、これらの課題に取り組んでいく」と結んでいます。
また、日米両政府は、NPT=核拡散防止条約の再検討会議が開かれていることを踏まえ、NPTに関する共同声明も発表しました。この中では、「広島と長崎の被爆70年において、われわれは、核兵器使用の壊滅的で、非人道的な結末を思い起こす」としたうえで、「70年という核兵器不使用の記録を永久に続けることが、すべての国家の利益であることを確認し、この目標を達成する責任を共有することを確信している」としています。
そして、北朝鮮による核開発について、「北朝鮮による完全で検証可能な非核化を達成するため、外交的に関与し続ける。核実験や弾道ミサイル発射といった挑発を自制し、不拡散義務を順守するよう求める」としています。また、イランの核開発問題については、「国際社会の懸念を完全に解消し、イランが核兵器を取得しないことを確保するため、残された作業の完了を奨励する」としています。
アメリカを公式訪問している安倍総理大臣は、日米首脳会談を終えたあと、日本時間の29日午前9時すぎから、ホワイトハウスで行われた公式晩さん会に昭恵夫人らとともに出席しました。
この中でオバマ大統領は、安倍総理大臣が日本時間の30日未明にアメリカ議会で演説することに関連して、「1957年に当時の岸総理大臣が『日米の新時代のドアを開けるよう望む』とアメリカ議会で演説し、あす、その孫である安倍総理大臣が演説し、日米関係をさらに一歩前に進めることになる」と述べました。
これに対し安倍総理大臣は、「首脳会談を通じ、日米同盟の力強さを改めて確認した。今後もオバマ大統領と協力し、日米で世界の平和のために積極的に貢献していく」と述べました。
そのうえで安倍総理大臣は、「オバマ大統領が世界のさまざまな課題に立ち向かう際には、決して一人ではない。エボラ出血熱問題や気候変動など、グローバルな課題に対して、常に日本はアメリカとともにある」と述べ、国際的な課題にも日米両国で常に緊密に連携して取り組んでいく考えを強調しました。
【日米首脳会談】NHKが同時通訳で誤訳 オバマ大統領の発言で - 産経ニュース
NHKは29日、日米首脳会談の共同記者会見を伝える同日未明の中継で、オバマ米大統領の発言の同時通訳に誤りがあったとして朝のニュースで謝罪した。
NHKによると、同時通訳では「沖縄の普天間基地の移転について、より柔軟に対応したいと思います」としたが、正しくは「沖縄に駐留する海兵隊のグアムへの移転を前進させることを再確認した」だったという。