アメリカ商務省が29日発表した、ことし1月から3月までの第1四半期のGDPの速報値は、年率に換算した実質で、前の3か月に比べて0.2%の伸びにとどまりました。
これは1%程度のプラスとみていた市場の予想を大きく下回るもので、前の四半期に当たる去年10月から12月の2.2%のプラスに比べて、回復の動きが一気に減速しました。
項目ごとに見ますと、GDPのおよそ7割を占める個人消費は、ガソリンの値下がりによる押し上げが期待されていましたが、寒波の影響もあって1.9%の小幅な伸びにとどまりました。
さらに、輸出は外国為替市場でドル高が進んだことから7.2%のマイナス。企業の設備投資も、原油安で石油関連の開発投資が控えられたこともあって3.4%のマイナスとなり、全体を押し下げました。
今回の結果について、市場関係者の間では、寒波の影響など一時的な原因が大きいとして、第2四半期以降、アメリカのGDPは回復して世界経済をけん引していくという予想が多くなっています。
アメリカの景気動向は、中央銀行に当たるFRB=連邦準備制度理事会が、異例のゼロ金利政策を解除して利上げに踏み切る判断を左右するだけに、今後、順調に持ち直していくか注目されます。
29日のニューヨーク株式市場は、この日アメリカ商務省が発表したことし1月から3月までのGDPの速報値の伸び率が市場の予想を大きく下回ったことを受けて、アメリカの景気の先行きに不透明感が広がり、幅広い銘柄に売り注文が出ました。その後は、アメリカの中央銀行に当たるFRB=連邦準備制度理事会が、ゼロ金利政策の維持を発表したことなどを受けて株を買い戻す動きも出ましたが、結局、ダウ平均株価は前日より74ドル61セント安い1万8035ドル53セントで取り引きを終えました。市場関係者は「アメリカのGDPの悪化は、冬場の寒波など一時的な影響によるもので、経済自体は悪くないと考えている投資家が多く、このまま株価が下がり続ける状況にはない」と話しています。