米成長は「控えめから緩やか」、原油産業の停滞響く=地区連銀報告 | Reuters
米連邦準備理事会(FRB)は3日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、米経済活動は4月初旬から5月下旬にかけて拡大したとの認識を示した。ただ、原油・天然ガス産業の投資が減少していることで、成長ペースは「控えめから緩やか(modest to moderate)」になるとの見方も示した。
報告は、大半の地区で製造業が安定的推移、もしくは拡大したとの認識が示されたものの、原油・天然ガス産業の縮小により成長が抑制されたと指摘。
ダラス地区は「油田機器の販売は引き続き弱く、前年に比べると格段に落ち込んでいる」と報告。フィラデルフィア地区は「天然ガス、およびパイプライン関連産業から、掘削活動の減速と資本投資の減少によるマイナスの影響が出ているとの指摘があった」と報告した。
また、ボストン地区は「原油・天然ガスに対する投資の落ち込みは、予想よりも格段に大きく、減少ぺースも速かった」と報告した。
FRBは、3日、全米に12ある地区連銀が先月下旬までに企業などを対象に行った聞き取り調査を基に、最新の景気報告をまとめました。
このうち、冬場に低迷していた個人消費は上向き、小売店の間に楽観的な予測が増えているほか、住宅建築や販売は上向き、地区によっては在庫が不足気味になっていると指摘しました。
一方で、企業の生産についてはほぼ横ばいと判断し、自動車などは力強いものの、外国為替市場でドル高が進み輸出にマイナスとなっているほか、原油安が石油関連の産業に影響しているとしています。
また、FRBが注目している雇用や賃金の動向については、小幅な改善だったと指摘しました。
これらを総合して、FRBは、アメリカの景気は4月上旬から先月下旬かけて全体として「拡大した」と、これまでと同じ表現を使い改善傾向を指摘しました。
FRBは、景気改善がさらに進めば、焦点のゼロ金利政策をことし、いずれかの時点で解除する意向で、今回の判断も踏まえ今月中旬に金融政策を決める次の会合を開き、利上げに向けた議論を進めることにしています。