アングル:北朝鮮で増える新興富裕層、消費文化の息吹も | Reuters
圧政的で経済的に困窮した北朝鮮が「消費者天国」になるのはまだ当分先のことだが、非公式経済の拡大を背景に、「ドンジュ(金主)」と呼ばれる新たな富裕層が増えているのも事実だ。
韓国統一研究院(KINU)によれば、そうした新興富裕層のなかには、子供に英語の家庭教師をつけたり、韓国製や日本製の衣料品の購入に散財する人もいるという。
「ドンジュ」の多くは、非公式市場での売買や小さな事業を始めることで収入を得ている。一部には、国営企業の職員が半自立型の営利企業を設立する「官民連携」の形を取っているビジネスもあるという。
脱北者らによると、そうして稼いだ利益の約70%は国家に入るが、残りは個人の手元に残る。
2011年に脱北して韓国に来るまで輸送業を営んでいたというChoi Song-minさんは「例えば、清津市の運輸当局では『われわれのバスを待つ人たちにコーヒーを売ったらどうだろう』という会話もある」と語る。現在は韓国の北朝鮮専門ネット新聞「デイリーNK」で執筆活動するChoiさんは、今も北朝鮮内部に情報源を持っているという。
北朝鮮を専門とする中国の旅行代理店「ヤング・パイオニア・ツアーズ」のトロイ・コリングス氏によると、平壌市内にある百貨店の食品コーナーでは、フルーツジュースやチョコレートや炭酸飲料など、富裕層向けに幅広い商品がそろっている。
韓国の元情報機関員だった脱北者のAhn Chan-il氏(63)は「市場で稼いでいるこうした新興富裕層は消費へのチャンネルを必要としている」と指摘。自動車やマッサージ、くじやペットなどが支出先になっていると語った。