https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

自分勝手でも怠惰でもない ギリシャ人が世界へ反論を叫ぶ|金融市場異論百出|ダイヤモンド・オンライン

 第一に、ドイツ人は、ギリシャ人の借金に関するモラルの低さにいらついているが、ギリシャ人は次のように反論する。「かつての汚職まみれのギリシャ政府に多額の賄賂を送って財政支出を拡大させ、財政悪化の中で大もうけしてきたのはドイツ企業ではないか」。


ギリシャの信号のほとんどはドイツ製で、軍事関連の受注額の上位3社もドイツ企業が占めてきたという。散々おいしい思いをしておきながら、そのツケをギリシャの低中所得層に回すのはおかしい、という理屈である。


 第二に、ギリシャ人は自分たちは怠惰ではないと主張する。実は労働時間はユーロ圏内でギリシャが一番長いからだ。2013年の経済協力開発機構OECD)調査33カ国の中で、年間労働時間はギリシャが2位(2037時間)、ドイツは32位(1388時間)だ。


英国放送協会(BBC)系の雑誌が以前、「そんなはずはない」と疑問を感じて統計を精査した。しかし、ギリシャの労働時間の長さは揺らがなかった。賃金水準が低いので、二つ目、三つ目の仕事をこなさないと生活費を賄えない人が多いのである。


 第三に、大多数のギリシャ人は、09年ごろに比べて収入が既に半分以下に減っている。しかも、収入の上位10%の人々よりも下位10%の人々の方が大幅に減少している(OECDデータ)。「低中所得層からこれ以上むしり取るのはむちゃだ」との悲鳴が出ている。


 第四に、「脱税があまりに多かったからこんな事態に陥ったのだ」との批判に対しては、次のような釈明が聞かれた。「ギリシャオスマントルコ支配下にあった400年間は、真面目に納税しなければならない義理はなかったため、4世紀にわたって人々に脱税文化が染み付いてしまったのだ」。


 一方、危機以前に見られた選挙対策のための公務員の無節操な増加や、各種補助金のばらまきについては、「あれはひどかった」という率直な声が聞かれた。視覚障害の手当を10年以上受け続けてバレなかったタクシー運転手もいた。

ギリシャ側に多々問題があったのは事実だが、そうはいっても、今の失業率25%以上(若年層のそれは50%以上)という現実はさすがに厳しい。米国の1920〜30年代の大恐慌に匹敵する状況だ。米国は当時、大規模な公共工事などを図るニューディール政策を行った。成長戦略が決定的に欠けたままでギリシャが緊縮財政を行っても展望は開けない。かといって、ユーロや欧州連合(EU)から離脱したら、同国の庶民はいったん凄まじい困難に直面する。


ウクライナ問題も打撃をもたらした。農業はギリシャの主要産業であり、最大の輸出先はロシアなのだが、EUの制裁によりそれらが制限されてしまったのだ。


 このままでは、ギリシャ政府は背に腹は代えられず、国内向けにIOU(借用証書)を発行し始めるだろう。それが増加して市中で流通すると事実上の「並行通貨」となり、ギリシャ側もEU側も望んでいない分裂が現実化してくる。EU側が支援の最終判断の期限に設定した7月12日までに、両者が妥協点を見いだせるか注目される。


#ドイツ #メルケル #緊縮策 #新自由主義