教育において、教育する側と教育を受ける側の「距離」が重要です。
近い距離であれば、立ち入ったことまで関わることが出来ます。遠い距離であれば、当たり障りのない範囲でしか関われません。
その中で、「師匠と弟子」という人間関係は特異と言えます。「師匠と弟子」の関係は「先生と生徒」と完全に異なります。
師匠は「この者であれば総てを伝えたい」と弟子を選びます。弟子は「この方であれば総てを学びたい」と師匠を選びます。
そこに利害関係はなく、ある面においては親子関係より濃密です。極めて近い距離だからこそ伝わることがあります。
だからこそ、良き師匠に巡り会えるのは最高の幸せなのです。
現在、高度な技能を継承する者がいないことが大問題となっており、長い歴史で培ったものを日本は失いつつあります。つまり、学校や会社の教育だけでは伝わらないことがあると分かり、師弟という関係が見直されつつあるようです。
師弟関係においては「聞こえ良く」関わることは、まずありません。初めて経験する弟子からすれば、始めは辛いことばかりです。しかし、その辛さは一時のことで、後に大きなものを得るのです。