FRBが今利上げすれば金融不安招く恐れ=グロス氏 | Reuters
米資産運用会社ジャナス・キャピタル・グループ(JNS.N)の著名債券投資家、ビル・グロス氏は2日、米連邦準備理事会(FRB)は今年これまでに利上げを実施する機会を失った可能性があり、現時点で実施すれば金融不安を自ら招く恐れがあるとの考えを示した。
同氏は9月の月次投資見通しで、自身が名目2%近辺と捉える中立政策金利について「現時点で近づこうとすれば市場はさらに動揺し、金融不安を自ら招きかねない」と指摘した。その上でFRBは金利正常化の開始が可能であることを証明するために、今月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決定する方向に傾いているように見えるとし「FRBはそうするべきだが、9月のFOMC声明の文言については非常に気を遣う必要がある」と述べた。
同氏は「事実上のゼロ金利政策を6年にわたり維持していることで、実体経済にマイナスの影響が出始めているとFRBは認識し始めている」と指摘。長期にわたる低金利が、年金基金や保険会社、貯蓄志向といった資本主義になくてはならない歴史的なビジネスモデルを破壊しており、貯蓄の減少が投資や長期的生産性の低減にもつながっているとした。
世界経済のけん引役となっている米経済を世界経済の金融上の「背骨」になぞらえ、米経済には大きな不調が見られているため「大幅な調整が必要」としながらも、「今回のケースではどんなに有能な整骨師でも治療は試みない。1回限りの利上げで改善する状態ではない」と述べた。
そのうえで、世界各国で行われる主要な政策変更は、緊縮財政ではなく政府支出拡大に向けたものである必要があるとし、中国を含め各国は需要を喚起する必要があると述べた。
現在の環境ではキャッシュ(現金)が最善の選択で「キャッシュもしくは1─2年物社債といった『キャッシュに近いもの』がリスクリワード投資に最善と個人的に考える」とした。高格付けの国際債券市場はデュレーションリスクに対して期待利益がわずかしかなく、世界経済の成長が引き続き芳しくなければ、プライベート・エクイティやヘッジに絡む収益も長期的に伸びないとした。
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150902#1441190495
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150831#1441017397
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150828#1440758257
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150820#1440067320