安倍晋三首相の姿は、ヒトラーが「ワイマール憲法」に拘束されない無制限立法権を授権した姿を連想する - 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
麻生太郎副総理兼財務相は2013年7月25日、東京で行った講演で「平和憲法の改正のモデルとして日本が戦前ドイツのナチス政権時代に目を向けるべきだと一部の人々に解釈されかねないような発言をした」として批判を浴びた。この発言を地で行っているのが、安倍晋三首相である。その姿は、ナチス党を率いるアドルフ・ヒトラーが、選挙の結果、国会で第1党の勢力を獲得して首相に就任し、その挙句の果てに、「ワイマール憲法」に拘束されない無制限の立法権を授権した姿を連想する。ヒトラーは、第2次世界大戦で、数多くの人々を殺傷した大悪人である。
安倍晋三政権は、「情勢変化」に即して「憲法解釈変更」を閣議決定、国会は「安全保障法制整備関連法」を制定、安倍晋三首相率いる政府に、「日本国憲法第9条の文言」に拘束されない「武力行使の新3要件」に照らしつつも、「総合的判断」して集団的自衛権行使を決定する権限を授権した。
「武力行使の新3要件」は、集団的自衛権を使う際の前提になる条件=①密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある(存立危機事態)②我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない③必要最小限度の実力行使にとどまる―の3点。だが、「存立危機事態」の定義が曖昧で、政府の「総合的判断」が、恣意的になる危険がある。
一方、ドイツ国会は1933年3月23日、「民族および国家の危難を除去するための法律案」(全権委任法案=全5条)を制定、ヒトラー首相が率いる政府に、「ワイマール憲法」に拘束されない無制限の立法権を授権した。