梶田さん「ニュートリノ振動」世界で初めて捉える NHKニュース
ニュートリノは、私たちの身の回りにも飛び交っている素粒子で、地球上の1センチ四方の狭い範囲には、太陽から、1秒間に660億個が降り注いでいます。しかし、その性質には分からない部分が多く、質量、つまり重さはないと考えられていました。ニュートリノは、直径が1ミリの1000兆分の1以下と極めて小さく、どんな物質でもすり抜けてしまうため観測が非常に困難だからです。
ニュートリノの性質を詳しく調べるため、梶田さんらの研究グループは岐阜県飛騨市の地下1000メートルに設けられた「カミオカンデ」という施設で観測を始めました。この施設は壁一面に取り付けられた高感度のセンサーでニュートリノが水と反応したときに出る僅かな光を捉えることで、ニュートリノの飛んできた方向や時刻などを正確に把握することができます。「カミオカンデ」での観測の結果、平成元年、梶田さんらは太陽から放出されたニュートリノの数が、予想される数の半分程度しか地球に届いていないことを明らかにしました。
この成果は、太陽から放出されたニュートリノが、地球まで飛んでくる間に、別の種類のニュートリノに変化している可能性を示唆するものでした。ここで示唆されたニュートリノの種類が変化する現象は「ニュートリノ振動」と呼ばれ、ニュートリノに質量があるときにだけ起きる現象でした。つまり、この現象が実際に起きていることを証明できれば、ニュートリノに質量はないとされてきたそれまでの素粒子物理学の定説を覆すことになるため、世界の注目が集まったのです。
梶田さんらのグループは「カミオカンデ」をさらに発展させた「スーパーカミオカンデ」という装置を使って、ニュートリノの質量の有無を巡る議論に答えを出すことを目指しました。そして、17年前の平成10年6月、ミューニュートリノという種類のニュートリノが別の種類に姿を変えていることの観測に成功し、「ニュートリノ振動」が実際に起きていることを世界で初めて証明しました。これによってニュートリノには質量があることが裏付けられ、梶田さんらの業績は世界的に高い評価を受けました。
梶田さんは6日夜、東京大学の本郷キャンパスでノーベル物理学賞の受賞決定を受けた記者会見を行ったあと、NHKのインタビューに応じました。
この中で梶田さんは、素粒子のひとつ「ニュートリノ」に質量があることを世界で初めて観測によって証明し、これまでの素粒子物理学の定説を覆したことについて、「本当に幸運だったと、素直に思っています。たまたま、カミオカンデの実験に参加し、たまたま、今回の対象となった観測のデータを真剣に見たことから、すべてが始まった」と述べ、これまでの研究を振り返りました。
また、「今回の発見は、現在の素粒子の理論の枠に収まらない、理論を越える物理学の世界があることを、実験的に示したことは大きい。いくらいい理論を考えても、間違いがあるかもしれない。実験事実で裏付けられることがものすごく重要だと思う」と述べ、みずからが力を入れてきた実験の重要性を強調しました。
そのうえで、宇宙の謎解きの面白さについて、「宇宙の物質の起源を解明できるのでないかという大きな期待が出てきています。宇宙にまつわる不思議や疑問を解き明かしていくのは素朴な喜びです」と述べました。
本日、重版が決まりました。15日出来の予定です。 @claw2003 ▼こんどノーベル賞をとった東大宇宙線研の梶田先生は益川俊英先生ほかのみなさんと共著があるな(@∀@) http://www.amazon.co.jp/dp/4406030336 新日本出版社は再版かけないかな。