もはやイギリスは世界の地政学への関心を失っており、関心があるのは経済だけだ。経済大国中国の立場に配慮するあまり、地政学的な原則さえ犠牲にしている。しかもEU脱退を問う国民投票が待ち受けている。https://t.co/KgQvaddGKxフォーリン・アフェアーズR
— フォーリン・アフェアーズ・ジャパン (@foreignaffairsj) 2015, 10月 24
引き籠もるイギリスと欧州連合 ―― EUもイギリスも衰退する
アナンド・メノン キングス・カレッジ・ロンドン教授(ヨーロッパ政治・外交)
1962年、ディーン・アチソン米国務長官は、「帝国を失ったイギリスは、まだ新しい役割を見つけていない」と指摘したが、現在のイギリスは、国際問題への関与にさらに消極的になっている。イギリスはヨーロッパだけでなく世界全般から手を引きつつあり、一方で、経済的な利益のためなら、中国の立場に配慮して地政学的な原則さえ犠牲にしていると一部では考えられている。おそらくは2016年に実施されるEU脱退の是非を問う国民投票は、イギリスの「引きこもり」が今後も続くのかどうかを判断する重要な材料になるはずだ。投票では、イギリスのパワーを強化するのは、EUメンバーのイギリスかEUを離れたイギリスかが問われることになる。問題は現在のようにイギリスがEUにおけるリーダーシップをとることを躊躇し続ければ、EUはますます非効率的になり、イギリスではEU脱退論がますます強くなり、悪循環に陥ってしまうことだ。