高速実験炉「常陽」再稼働前提の審査申請の方針 NHKニュース
茨城県大洗町にある高速実験炉「常陽」は、プルトニウムとウランを混ぜた「MOX燃料」を燃やしてプルトニウムを生み出す日本で初めての高速増殖炉の実験炉として、昭和52年4月に初臨界を達成し、運転を始めました。
「常陽」では平成19年6月に炉内でトラブルが発生し、運転が止まりましたが、炉内に残された実験装置の回収などの復旧作業が去年6月に完了しています。
これを受け、日本原子力研究開発機構は、「常陽」の再稼働の前提となる審査を来年度に原子力規制委員会に申請する方針を固めました。
「常陽」は、福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」の前の段階の実験炉と呼ばれる施設です。
しかし、もんじゅを巡っては、大量の点検漏れなど安全管理上の問題が相次ぎ、文部科学省が規制委員会から別の運営主体を特定するよう求められ、運転再開のめどは立っていません。
日本原子力研究開発機構は「核燃料サイクルをはじめ原子炉を扱う人材の育成の面で意義があるので、できるだけ早い時期に審査の申請を行いたい」と話しています。
「核のゴミ」は、原発の使用済み核燃料を再処理したあとの廃液をガラスで固めた、極めて強い放射線を出す廃棄物です。
この処分場をどのような場所につくるかを巡って、経済産業省の専門家会議は先月、安全に輸送できる「より適性の高い地域」として、海岸からおよそ20キロ以内の沿岸部についても選択肢に含めるとする中間報告をまとめています。
これを受けて経済産業省は、沿岸部の地質のデータなどをさらに調べるため、専門家などを集めた新たな研究会を発足させました。
26日の会合では、これまで候補地選びに当たってきたNUMO=原子力発電環境整備機構が、海底に処分場をつくる場合、陸や島からトンネルを掘って処分場まで結ぶというイメージを紹介しました。
そのうえで、海底は地下水の流れが穏やかで、仮に海面が下がって陸になっても状況が変化しにくいことや、人の進入を防ぎやすいなどの利点があると説明しました。
研究会では、地質や海水の影響といった技術的な課題についてさらに検討を重ね、ことし夏をめどに報告することにしています。