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『日本古代史をいかに学ぶか』

P107

 口から耳へ、耳から口ヘ、過去のさまざまなできごとが言葉によって伝えられる口頭伝承も歴史の研究において無視するわけにはいかない。口頭伝承には神話・伝説・昔話もあれば笑話や世間話もある。
 まず神話について考えることにしよう。
 神話という文字やことばが、日本で用いられるようになったのは、明治になってからである。それもそのはずであった。

P108

 すでに指摘されているように、ミュートスの意味するところは、人間生活のなかで生じたことや生ずる定めになっていることについて語られたことばであった。考えられた説得的なことばの世界が、ロゴスの世界であるというなら、「頭の中で考えられた事柄にかかわる言葉では決してなく、この世のはじめにおける神と人との聖なるできごとにかかわる言葉」の世界が、ミュートスの世界であったというべきであろう(『日本神話』岩波新書)。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160219#1455878476
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