米大統領選の共和党候補指名レースで、ライアン下院議長の擁立を目指すグループが11日、活動を停止すると声明で明らかにした。
ライアン氏の政治団体が前日、活動停止を求める書簡を送っていた。
共和党指名争いはドナルド・トランプ氏がトップを走り、党主流派は懸念を深めている。対抗馬として、ライアン氏の名前がたびたび浮上していたが、自身は今年の大統領選への出馬意向を否定した。
#米大統領選
The nicest surprise about being speaker is being able to shape the direction that we go: https://t.co/i7D9z9qOnZhttps://t.co/cWFKMJXzwC
— Paul Ryan (@SpeakerRyan) 2016年3月11日
イギリスの庶民院(下院)議長などとは異なり、アメリカの下院議長は通常自ら議事を主宰・進行することはせず、自身の所属する政党の他の議員にその任務を委託する。
アメリカ合衆国憲法には、下院議長が現職下院議員でなければならないという規定はないが、これまで選出された下院議長は全て現職議員であった。
19世紀の終わり近くなって、下院議長職は大変強力なものに変わり始めた。下院議長の権限の最も重要な源泉は議院運営委員会委員長職を兼ねたことであり、この委員会は1880年にその仕組みが作られた後は、下院の中でも最も強力な位置にある委員会となった。
アメリカ合衆国憲法には下院議長の政治的役割を規定していない。しかしこの役職は歴史の中で成長してくるにつれて、はっきりと党派的役割と解釈され、綿密に非党派的であることが目されるイギリス庶民院議長とは大変異なっている。アメリカ合衆国の下院議長は伝統的に下院多数党の頭であり、多数党院内総務の役割を超えている。しかし、下院議長は通常議事に参加しない(参加する権利はある)し、議場で投票することは滅多にない。
下院議長は多数党が支持する法案を下院で成立させることを保証する義務がある。この目標を達成するために、下院議長はいつ各法案を議題にするかを決定する権限を使っても良い。多数党の下院運営委員会も宰領する。下院議長は下院多数党の首長として機能するが、上院の臨時議長は必ずしもそうはならず、その役職は主に儀礼と名誉のためのものである。
下院議長と大統領が同じ党に属するとき、下院議長は通常多数党指導者としてそれほど顕著な役割を果たさない。例えば、デニス・ハスタートは同じ共和党のジョージ・W・ブッシュ大統領の任期中、重要性の大変低い役割となった。一方下院議長と大統領が対立する政党に属するとき、下院議長の公的役割と影響力は増大する。下院議長は反対党の最高位にある者であり、通常大統領の議題にとって主要な公的対立者である。
下院議長は下院を主宰する役職者として様々な権限があるが、通常は多数党の他の議員にそれらを委託する。議長は議員を臨時議長(Speaker pro tempore, 仮議長とも訳す)に指名し下院を主宰させることができる。重要な議論があるとき、臨時議長は宰領の能力故に選ばれた多数党の古参議員となるのが通常である。その他の場合、より若手の議員が宰領を任されて下院の規則や手続に関する経験を積むようにされている。議長は特別の目的で臨時議長を指名することもできる。例えば、長い休暇の間には、ワシントンD.C.に近い選挙区選出の議員が成立した法案に署名するために臨時議長に指名される。
下院議長の権限と義務は議場を主宰すること以外にも及んでいる。特に議長は委員会の進行に強い影響力を持っている。また、多数党会派の承認を得て、議院運営委員会委員13人のうち9人を選出することになっている(残り4人は少数党指導層が選ぶ)。さらに、特別委員会や協議委員会の全委員を指名している。また法案が提出されたとき、どの委員会でそれを検討するかを決定する。議長は議員として議論と投票に参加できる資格がある。しかし、慣習的には特別な事情が或る場合を除きそれは行わない。通常その1票が決着を付けることになるとき、および非常に重要な問題(憲法修正など)にのみ実行する。