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不動産にミニバブルの芽、マイナス金利でマネー流入−銀座で坪2億円 - Bloomberg

日本銀行がマイナス金利政策を導入したことで、頭打ちになっていた日本の不動産市場に投資マネーが回帰している。中長期国債利回りがマイナスに落ち込む中、プラスの収益を維持している不動産の投資妙味が増しており、経済実態から離れた「ミニバブル」に発展する可能性を指摘する見方も出てきた。


  Jリート大手の日本リテールファンド投資法人は、2月にシャネルやティファニーなどが立ち並ぶ銀座2丁目の商業ビルの持ち分の半分を130億円、坪単価約2億円で取得すると発表した。賃料などを収益とした投資利回りは2.8%。調査会社のアイビー総研の藤浪容子氏によると、Jリートによる取得時の利回りとしては過去最低。クレディスイス証券の望月政広アナリストは「決して割安な投資とはいえない」とし、「今後2%台での取得が出てくるだろう」と述べた。


  1月の日銀のマイナス金利導入決定を受け、年限10年以下の国債利回りがマイナス圏に沈む中、不動産の投資利回りとの格差は広がっている。米総合不動産JLLの資料によると、都心オフィスビル(グレードA)と10年国債の利回り格差は3月末時点で305ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と昨年末の260bpから拡大、2007年以降で最大となった。Jリート市場の2月の総売買代金は前月比約2倍に増加、海外投資家の買越額は9年ぶりの高水準だった。


  JLL日本法人の河西利信社長は、「不動産から取れる利回りは下がってはいるものの、長期金利はさらに下がっている」として、不動産投資の比較優位を指摘する。しかし、みずほ証券の石沢卓志上級研究員は、不動産市場について「採算が取れる限界近くまで上がってきている。今年後半にはミニバブルとなる可能性があり、上昇は鈍化していく。場合によっては下落に向かう可能性もある」との見方を示す。


ミニバブルの兆候


  足元の不動産価格の値上がりは、実体経済や不動産のファンダメンタルズに支えられたものではないとの指摘もある。教職員向けに年金運用などを手掛ける教職員共済生活協同組合経営管理本部長兼資産運用部長、樋口徹氏は「景気が良くなって不動産の需給がタイトになって、空室率が低下し賃料がどんどん上がるという状況なら説明がつくが、そうではない。実体を伴わない上昇だ」と指摘する。


  三鬼商事によると12年6月ごろから低下基調にあった東京ビジネス地区の空室率はこのところ下げ止まっている。景気先行きにも不透明感が強まり、昨年10ー12月の実質国内総生産(GDP)は中国経済の減速などを受けて前期比年率1.1%減のマイナス成長。2月の完全失業率は3.3%と3カ月ぶりに悪化し、春闘も安倍政権による賃上げ要請を受けてベアを実施する大企業もあるが、水準は昨年より下がっている。


  こうした経済環境は過去の不動産バブルの時とは大きく異なる状況だ。みずほ証の石沢氏は、「過去の不動産バブルは将来の不動産価格の先高観を背景に不動産が買われてきた。今回は日本の不動産物件はすでに高くなり、割安感は強くない。他に投資できる商品がないからという後ろ向きな理由で不動産が買われているにすぎない」と分析する。


  教職員共済の樋口氏は、マイナス金利の下で「利回りが付いているものだったら、リスクを無視してリターンが注目されつつある。そうなると高値でつかむことになる」と不動産関連投資に慎重な姿勢を示す。


先行き


  マイナス金利政策で押し上げられた不動産市況の先行きをめぐっては、強弱感が交錯している。みずほ証の石沢氏は、「不動産市場へのマイナス金利効果の要素はほぼ出尽くした感がある」と指摘。教職員共済の樋口氏は、80年代後半のバブル時の不動産投資はキャピタルゲイン狙いだったのに対し、現在は「インカム狙いだ」とみており、「マイナス金利が終わったらどうなるのか。金利次第ではじけることがあると思う」と話す。


  一方、大和証券の大村恒平アナリストは、「利回り重視の投資家層の資金がJリートに流入する」と分析。3月に1年ぶりの1900ポイント台に上昇した東証REIT指数が、夏ごろには2100ポイントに達し、引き続き緩やかな上昇を続ける可能性があると予想する。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160331#1459420841