大学や研究機関などが所有し学生や研究者の教育や実習に使われている研究用の原子炉は、すでに廃止されたものなどを除くと全国で12基あります。
ところが、福島第一原発の事故の教訓から原発の規制基準が見直され、地震や津波といった自然災害への対策を強化するよう義務づけるなど一般の原発に準じる厳しい規制が課せられた結果、出力の小さなものも含めすべての研究炉で運転できない状態が続いています。
これを受けて日本原子力学会に所属する大学の教授などが国の原子力委員会を訪れ、東京大学の上坂充教授は、「震災の前に研究炉を使っていた学生や研究者はおよそ1700人いたが、今は海外の装置を使ったり研究テーマを変えざるをえなかったりする学生も出ている」と述べて、将来の原発や廃炉の安全を担う人材の育成に深刻な影響が出ている現状を訴えました。
研究炉の規制を巡っては原子力規制委員会も審査のスピードアップを図っていますが、大学などでは人手や予算の制約から対応に時間がかかっていて、日本原子力学会では規模に見合った研究炉の規制の在り方を国に提言することにしています。