NATO加盟国とロシアは、一定の協力や連携の道を探るため定期的に政治協議を行ってきましたが、おととし3月、ロシアがウクライナ南部のクリミア半島を併合したのをきっかけに協議を中断していました。
双方は緊張を避けるためにも対話の継続は必要だとして、20日、ベルギーのブリュッセルでほぼ2年ぶりとなる大使級会議を開きました。
会議ではウクライナ東部の情勢などについて意見を交わし、ウクライナ政府軍と親ロシア派の停戦合意を巡り、完全な履行が必要だという認識で一致しました。しかし、NATO加盟国からは、ロシアが親ロシア派に武器や資金の供与などを続け地域の不安定化を招いているという批判が上がったのに対し、ロシア側は関与を否定する主張を崩さなかったということです。
また、先週バルト海でアメリカ軍の艦艇にロシアの戦闘爆撃機が異常な接近を繰り返したことなどについても話し合われ、NATO側から強い懸念が示されました。
会議後の記者会見で、NATOのストルテンベルグ事務総長は「政治対話の再開は事態が緊迫化している今こそ重要だが、これで関係が元どおりになるわけではない」と述べ、対立の根深さが浮き彫りになっています。