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「いつも70点」と「たまに100点」本当に優秀な子はどっち? MM理論第2命題「ハイリスク・ハイリターンの法則」|あれか、これか ― 「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門|ダイヤモンド・オンライン

たとえば、ハイリスク株Aとローリスク株Bがあるとしよう。100万円をAに投資すれば最高30%のリターンが望めるが、最悪の場合マイナスもある。Bはリスクは低いが、最高でも15%のリターンしか期待できない。「ハイリスク・ハイリターンの法則」に従えば、Aのほうが期待リターンは高くなければならない。


しかし、もし両者の「期待リターン」がともに同じ10%だったらどうだろうか?つまり、確率論的にはどちらに賭けても期待される収益が等しいのだ。

Aくんは調子がいいと100点をとることもあるが、調子が悪いと40点のときもある。逆に、Bくんはどんなときも、ほぼ70点近辺の成績となる。あなたが教師だった場合、どちらの学生を「優秀だ」と判断するだろうか?ハイリスクを嫌う人も、調子がいいときに100点をとる生徒のほうに軍配を上げたくならないだろうか?

【問題】
赤か黒(確率50%)に賭けるルーレットゲームが2種類ある。
1回のプレイ料金はなんと40万円だが、賞金は次のとおり。
ルーレットA 当たり100万円/はずれ0円(期待リターン50万円)
ルーレットB 当たり75万円/はずれ25万円(期待リターン50万円)
あなたはどちらのルーレットで勝負するか?

期待リターンは同じなので、「やはりどちらに賭けても同じ」ということになりかねないが、実はここではルーレットBを選ぶべきである。


その証明は簡単だ。誰かから40万円を借りてきて、ルーレットBに2倍の額(80万円)をベットして遊んでみるとしよう。もしも勝てば賞金は150万円だ。借りてきた40万円を返しても、手元には110万円が残る。だが……もしも負けてしまったら?負けても50万円(=25万円×2)は手に入るのだから、40万円を返済しても10万円は手元に残る。

リスクがどのように変化しているのかを確認するために、ルーレットBに2倍賭けるゲームを全額自己資金で行ったとしよう(元手80万円)。リターンの平均額は20万円(=(150万円+50万円)÷2−80万円)だから、元手に対する平均利回りは25%だ。これをもとに標準偏差(リスク)を計算すると62.5%となる。


一方、40万円をタダで人から借りて賭け金2倍のゲームをした場合、リターンの平均額は20万円(=(110万円+10万円)÷2−40万円)、元手に対する平均利回りは50%、リスクは125%になる。つまり、全額自己資金の場合に比べ、半分を負債で調達した場合は、リターンもリスクも2倍になるわけだ。


やはり、ハイリスク・ハイリターンの法則は正しかったことになる。

MM理論の第2命題:営業利益が相等しい場合には、他人資本を利用する企業の株式収益率の期待値は、資金のすべてを自己資本で調達している企業の株式収益率の期待値に、借入のために付加されるリスクを加えたものに等しい。


解説しよう。負債を利用するとCOE(株主資本コスト)、裏返せば、ROE(株式リターン)は上昇する。負債の割合が増える分、株主資本は減少するが、COD(負債コスト)はCOEよりも低いため、キャッシュフローはそこまでは減少しない。結果として、1株あたりのキャッシュフローが相対的に増え、ROEが向上することになるのだ。