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所有者不明の土地増加 公共事業の遅れ深刻化 | NHKニュース

ことし3月に開業した北海道新幹線の建設工事や、東日本大震災の被災地の高台移転などの現場で、所有者が誰か分からない土地が数多く見つかっています。
北海道新幹線の建設工事では、木古内町の建設予定地にあった畑の中の小道の所有者を調べたところ、昭和2年に住民など68人の共有名義で登記されていました。多くはすでに亡くなったとみられますが、相続の登記はほとんど行われておらず、「鉄道・運輸機構」が全国の自治体から戸籍や住民票の情報などを取り寄せて調べたところ、相続の権利がある人が900人以上に上ることが分かりました。一人一人と交渉して相続の登記を続け、最終的に権利関係の調整が終わったのは新幹線の開業の僅か半月前。用地の取得に向けて動き出してから10年以上がたっていました。町内会長として用地買収に協力した工藤嗣美さんは「権利者の数があまりに多いので驚きました。資料が膨大になり、頭を抱えました」と話していました。
一方、所有者が誰か分からない土地は、東日本大震災の被災地の復興にも影を落としています。
津波で大きな被害を受けた宮城県南三陸町では、山林を切り開いて役場や病院、公営住宅などを整備する高台移転事業を進めています。ところが、買収予定地の中に相続の手続きが取られないまま長年放置されていた土地が見つかりました。町が調査したところ、買収の同意を得なければならない相手は、元の所有者のひ孫の代まで広がっていて、30人に上りました。一人一人と交渉し、すべて同意を取り付けるのに1年余りかかりました。管財課の仲村孝二課長は「こうした問題がなければ、半分の期間で買収を終えられただろう」と話しています。
所有者が分からない土地は全国各地で見つかっていて、国土交通省が去年行った調査では、都道府県の用地担当部局の96%、市町村の建設担当部局の50%が「過去5年間の事業で、所有者の所在の把握が難しい土地が存在した」と回答しています。
国は、社会の高齢化や都市部への人口の集中を背景に、所在が分からない土地所有者は今後10年間で倍増するとみており、対策の検討を始めていますが、問題解決の糸口は見つかっていません。
不動産登記法に詳しい早稲田大学の山野目章夫教授は「所有者が分からない土地の問題は過去の積み重ねによって起きている問題なので、新しい制度の創設も視野に思い切った対策を考えていかなければならない」と指摘しています。