ある日の教室でのことである。その日は、ネゴシェーションのクラスがあった。ネゴシェーションのクラスでは、自分なりのネゴシェーションスタイルの他に、様々なネゴシェーション・スタイルが割り当てられる。例えば、「バッド・コップ」「グッド・コップ」として、強面のネゴシェーターとそれをなだめる紳士的なネゴシェーターの役割を演じろと言われたり、「タフ・ネゴシェーター」をやってみろと言われたりするのである。
中国人の男子生徒と、彼の相方は、「タフ・ネゴシェーター」の役割を割り当てられた。
相対するチームは、一人が休んでしまい、女子生徒一人の状態。その女子生徒に対して、男子生徒二人による畳みかけるような強面の交渉。
講評の際に、今日の感想を聞かれた中国人の男子生徒は、こう答えた。
「申し訳なかった。」
ざわざわしていた教室が、一瞬でシーンと静まり返る。白人ミドルの女性教師が、ぴくりと片方の眉を吊り上げる(ニューイングランドに住む、白人ミドルの女性教師というのは、ほぼ100%の確率でフェミニストである。)
つまり、今日、何を言いたいのかというと、アメリカは、あたかも男女の違いがないかのように扱う、そして、表面的に平等に扱う、「男女平等」が徹底している。