プーチン訪日で合意 北方領土問題で協議活発化か | NHKニュース
ロシア極東のウラジオストクを訪れている安倍総理大臣は、20日、およそ3時間にわたりプーチン大統領との日ロ首脳会談に臨みました。
会談は、少人数の会合に続いて、通訳以外を退席させた2人だけの会談をおよそ55分間挟んで、夕食をとりながらの大人数という形式で行われました。
少人数での会談の冒頭、プーチン大統領が、ことし5月のロシア南部のソチでの会談で安倍総理大臣が提案した8項目の協力プランなどについて、「真面目に検討している」と述べたのに対し、安倍総理大臣は、「隣国である日本としても、ロシア極東地域の日ロ協力を強力に推し進めていく考えだ」と応じました。
また、プーチン大統領が、「ソチでの会談以降、国連の安全保障理事会でも協力が進んでいる。日ロ間の貿易は減少しているが、よい進展も見られる」と述べたのに対し、安倍総理大臣は、安全保障分野の両国の対話を今後も続けていきたいという考えを示しました。
このあと、安倍総理大臣は、北方領土問題を含む平和条約交渉について、「ソチでの会談を踏まえ、首脳同士でしっかりとフォローしたい」と述べたうえで、通訳以外を退席させて2人だけで意見を交わしました。
そして、両首脳は、ことし11月にペルーで開かれるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議に合わせて首脳会談を行ったうえで、プーチン大統領が日本を公式訪問し、12月15日に、安倍総理大臣の地元・山口県長門市で改めて会談することで合意しました。
このあと、安倍総理大臣は、同行の政府高官に対し、北方領土問題について、「両国がそれぞれの国益を総合的な観点から判断すべきということで一致した。プーチン大統領も身を乗り出して真剣な議論が行われた。率直な意見を述べたら大統領は頷いて聞き、1対1なので、打ち解けた雰囲気の中で胸襟を開いて話をしてくれた」と述べたということです。
これに続いて行われた大人数会合で、安倍総理大臣は、先に提示した8項目の協力プランについて、さらなる具体化を指示したことなどを説明するとともに、石油・天然ガスなどエネルギー分野の包括的な協力を進めるための政府間協議の設置などを提案しました。
そして、安倍総理大臣は、「訪日の際には、政治面も含めて関係全体を発展させ、新たな歴史を開く成果を結実させたい」と述べました。
安倍総理大臣としては、12月の会談で、経済協力に加えて、北方領土問題の前進を図り、一定の成果を出したい考えで、今後、両政府間の事務レベルの協議が活発化することが予想されます。
一方、今回の会談について、政府高官は、「4島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという従来からの日本政府の立場を変えるような提案はしていない」と述べました。
#EEF: Vladimir Putin met with Prime Minister of Japan Shinzo Abe https://t.co/efWtJS7zmI pic.twitter.com/Xzm3CGAT6X
— President of Russia (@KremlinRussia_E) 2016年9月2日
この会議は、ロシアのプーチン大統領が極東のウラジオストクで2日から開いている東方経済フォーラムの一環として開催されたもので、日本とロシアの政府関係者や企業の担当者など、およそ300人が参加しました。
この中で、経団連の朝田照男、日本ロシア経済委員長は「多くの企業がロシアでのビジネスを有望視しているが、課題はまだ多い。インフラ整備や行政手続きの簡略化などをもっと進めてほしい」と述べ、日本がことし5月に提案した8項目の協力プランを具体化させるためにも、ロシア側にビジネス環境のさらなる改善を求めました。
これに対し、ロシアのガルシュカ極東発展相は「日本企業は、われわれが創設した経済特区などを活用した投資を行うことに関心を示している。日本企業の進出を後押ししていきたい」と述べ、日本側に積極的な投資を呼びかけました。
ロシアとしては、ウクライナ問題をめぐる欧米からの制裁で経済状況が厳しさを増す中、今回のフォーラムをきっかけに、極東の開発に向けて日本側から一層の投資を呼び込みたい考えです。
首相 プーチン大統領に領土問題解決へ協力要請 | NHKニュース
ロシア極東のウラジオストクを訪れている安倍総理大臣は、ロシアや日本など、各国の企業経営者らが出席して開かれている「東方経済フォーラム」の全体会合でスピーチを行いました。この中で安倍総理大臣は、同席したプーチン大統領に対し、「ロシアと日本の経済は競合関係にはなく、見事に補完する間柄だ。需要面でも供給面でも、互いに刺激し合い伸びていく未来を思おう。ロシア産業の多様化を進めて生産性を上げ、それを活かしながら、ロシア極東地域をアジア太平洋に向けた輸出の拠点にしよう」と呼びかけました。
そのうえで安倍総理大臣は、先に提案した極東でのエネルギー開発や産業振興など、8項目の協力プランの進捗(しんちょく)状況を確認するため、ウラジオストクで毎年首脳会談を行うことを提案しました。
また安倍総理大臣は「重要な隣国どうしであるロシアと日本が、今日に至るまで平和条約を締結していないのは異常な事態だといわざるをえない。私たちは、それぞれの歴史に対する立場、おのおのの国民世論、愛国心を背負って、この場に立っている。日本の指導者として私は日本の立場の正しさを確信し、あなたはロシアの指導者としてロシアの立場の正しさを確信している」と述べました。
そのうえで安倍総理大臣は「このままではあと何十年も同じ議論を続けることになってしまう。それを放置していては、未来の世代に対して、よりよい可能性を残してやることができない。私たちの世代が勇気をもって責任を果たしていこう。無限の可能性を秘めた2国間関係を未来に向けて切り開くために、私はあなたと一緒に力の限り、日本とロシアの関係を前進させる覚悟だ」と述べ、北方領土問題の解決への協力を呼びかけました。
プーチン大統領 「8項目の協力プランは唯一の正しい方法」 | NHKニュース
ロシア極東のウラジオストクで開かれている国際会議、「東方経済フォーラム」の全体会合が3日行われ、ホスト役のプーチン大統領が、安倍総理大臣と韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領とともに出席して、極東地域の開発をめぐる近隣諸国との協力について意見を交わしました。
この中で安倍総理大臣が、北方領土問題の解決への協力を強く呼びかけたことを受けてプーチン大統領は、「日ロの一方が負けたと感じることがないよう信頼のレベルを高める必要がある。解決策を探すことは難しいが可能であり、安倍総理大臣の8項目の提案は唯一の正しい方法だ」と述べて日本政府がさきに提案した協力プランについて高く評価しました。
そして「われわれには決断に向けた用意があるが、十分な準備が必要だ」として、日ロの外務省間で協議を重ねるとともに、サハリン沖の油田開発のような大規模な経済協力を進める必要があると強調しました。
また安倍総理大臣に対しては「とてもよい信頼関係を築くことができた」としたうえで、「われわれにはそれぞれ国益があるが、問題の解決が必要だという点では一致している」と述べ、安倍総理大臣とともに北方領土問題の解決に取り組む姿勢を示しました。