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「9月緩和なし」が論理的帰結、画期的な日銀総裁講演−門間前理事 - Bloomberg

  日銀を5月末に退任後、みずほ総合研究所のエグゼグティエコノミストに就任した門間氏は6日のインタビューで、黒田総裁がマイナス金利政策に「ある種の副作用みたいなものもあるということを、あそこまではっきり言ったのは初めてではないか」と語る。


  黒田総裁は、日本は預金残高が貸出残高を大幅に上回り、金融機関の競争が厳しいため、利ざやが低水準であるなど、マイナス金利が「金融機関収益に与える影響が相対的に大きい」と述べた。門間氏は「以前は、欧州はマイナス幅が深いので日本もどんどん深掘りできるというスタンスだったが、国内の事情を勘案し、どういう副作用があるか見なければならないという姿勢に変わった」と分析する。


  その上で、黒田総裁が「ここまで大規模な緩和を行っている以上、当然、 追加措置の『コスト』はある」と発言したことが最大のポイントだと指摘。ベネフィットのみを追求する従来の方針から、「今後はコストとベネフィットを比較しながら政策運営するという基本的な考え方を明確にした。ものすごく大きな変化だ」という。

  日銀は20、21両日の決定会合で総括的な検証を行うとともに、追加緩和に踏み切るのではないか、という見方も根強い。門間氏は「7月時点と比べて今の状況が悪くなっているとは思えない。その時やらなかった量の拡大やマイナス金利の深掘りを、今会合でやるというファンダメンタルズ上の理由はない」と語る。


  今後は「より慎重にコストとベネフィットを比較するはずで、なおさら7月よりも9月の方が、量も金利もやることのハードルは上がっている」と指摘。「これまでの日銀の言動や今の経済情勢を論理的につなげると、9月の量や金利の緩和はない」と語る。


  黒田総裁は一方で、総括的な検証は「緩和の縮小という方向の議論ではない」と言明。量、質、金利の各次元での拡大は「まだ十分可能」で、「それ以外のアイデアも議論の俎上(そじょう)から外すべきではない」と述べた。

  門間氏は、例えば国債の買い入れペースを年80兆円から60兆円にしても、日銀のバランスシート自体は拡大を続けるため、「ペースが少し落ちるだけで、まだまだ緩和方向だ」という。今会合で国債の買い入れペースを変え、市場に「非友好的なメッセージを出す必要もない」とした上で、「ベネフィットとコストを考えながら徐々に妥当な水準に調整していくことは、いずれあるかもしれない」とみる。


  浜田宏一内閣官房参与は3次元以外の新たな手段として外債購入に言及した。門間氏は、外債購入は介入とは違い為替に影響を与える意図はなく、あくまで金融調節上必要なものだと市場や海外当局を説得しなければならないが、「今がそういう状況だと言って誰が信じるか」と述べ、「現実にはハードルが高い」と指摘した。

  黒田総裁は総括的な検証について「2%の物価目標をできるだけ早期に実現するために何をすべきか、議論したい」と述べた。そのヒントとして門間氏が注目したのが、講演の最後のくだりだ。黒田総裁は内外に例を見ない極めて緩和的な金融環境を企業や家計が前向きな経済活動に活用するためにも「構造改革の取り組みを通じて潜在成長率を高める必要がある」と述べた。


  門間氏は「これだけ強力なコミットメントを打ち出し、これだけ強力な金融緩和をしても、人々の期待はバックワード・ルッキングから変わっていない。日銀がこれ以上何をすれば、人々の期待が変わるのか。これまでの日銀の分析を踏まえると、解はないというのが答えだと思う」と語る。


  その上で、「日銀の力だけで早期に2%を実現できるという決定的な手段は残っていない。むしろ成長戦略に期待をして、その成果が出るまでしっかり金融緩和を続ける、それが日銀として最善の努力を続けていくことになる」としている。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160905#1473071777

#リフレ#アベノミクス