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発表によりますと、東芝は27日、取締役会を開き、三重県四日市市に生産拠点を置く記憶用の半導体フラッシュメモリーの事業をことし3月末に分社化し、新会社を設立する方針を決定しました。


ことし3月下旬に開く臨時の株主総会で分社化の承認を受けることにしています。


東芝アメリカの子会社が手がける原子力事業で、数千億円規模の損失を計上する可能性があり、財務基盤を強化するため、設立する新会社に他社からの出資の受け入れを検討するとしています。


関係者によりますと、新会社には20%未満の出資を受け入れ、3000億円規模の資金を調達することを目指していて、これまでにメーカーや投資ファンドなどが出資の意向を示しているということです。


東芝が出資の受け入れを20%未満に抑えるのは、新会社の経営の主導権を維持するとともに、独占禁止法に基づく手続きが簡略化されるためで、資金調達を急ぐ狙いがあります。


東芝をめぐっては、巨額損失の原因となったアメリカの原子力事業の立て直しや、収益の回復に向けた不採算事業の整理など課題が多く経営の抜本的な改善を急ぐことにしています。


アメリカの原子力事業で巨額の損失が明らかになった東芝の綱川智社長は、27日午後4時半から都内の本社で記者会見し、「原子力事業についてはこれまでエネルギー事業の中で最も注力する領域としてきたが、その位置づけを変えていく。国内事業は原発の再稼働やメンテナンスを中心に続けていく一方、海外事業については今後の在り方を見直していく」と述べました。


そのうえで綱川社長は「原子力事業を独立させて社長直属の組織として情報共有や意思決定の迅速化、コスト管理の徹底などを図っていきたい」と述べました。
綱川社長は主力の半導体事業を分社化する方針を決めたことについて「大容量で高性能なフラッシュメモリーの開発の立ち上げを加速し、安定的に需要の拡大に対応していくためには、大規模な設備投資を適時に行うことが重要な課題だ。機動的かつ迅速な経営判断が可能となる体制の整備と資金調達手段の拡充を図り、事業のさらなる成長を実現するために分社化を決定した」と述べました。


そのうえで分社化して設立する新会社については「外部から資本を受け入れるならば20%未満にすることが基本的な考え方だ」と述べました。


また、綱川社長は、アメリカの原子力事業で巨額の損失を計上する見通しになったことについて、「今回のことについては責任を大きく感じている。進退、去就については指名委員会に判断を委ねるというのが基本だ。資本増強については3月までに対応していくので、それは責任を持って遂行していきたい」と述べました。


さらに、アメリカの原子力事業で巨額の損失が明らかになったことについて「投資家の皆様、関係者の皆様に急な心配を与えて大変申し訳ないことだと思っています。また東芝の事業や技術を信頼してくれたお客さまに不安を与えたことを申し訳なく思っています」と述べ、陳謝しました。


綱川社長は、巨額の損失につながった海外での原子力事業について、「建設工事を含めて受注するのか、タービンなどの機器設備の納入だけを行うのかということも含めて、変えることになると思う。新規の受注計画に関しては考え直すということであり、受注目標の具体的な数字については次の中期経営計画の策定に向けた議論の中で考えている」と述べました。


「NAND型フラッシュメモリー」は、1987年に東芝が開発した記憶用の半導体で、東芝の収益の多くを支えるいわば虎の子の事業です。


東芝の去年9月までの半年間の決算では、本業のもうけを示す営業利益967億円のうち、半導体事業が783億円を占め、原子力を中心とするエネルギー関連事業が96億円となっています。


半導体原子力を中核事業にすえ、特に半導体事業は稼ぎ頭になっています。


NAND型フラッシュメモリーは、記憶の書き込みと消去が繰り返し可能で、電源を切っても記憶が消えない特徴を持ち、スマートフォンなどには欠かせない半導体です。


IT技術の調査会社、「ガートナー」によりますとおととしの世界市場での売り上げのシェアは、トップが韓国のサムスン電子で32.6%、東芝は21%で世界2位、東芝三重県四日市市半導体工場を共同運営しているアメリカのウエスタンデジタルは15.4%の3位となっています。


高性能化が進むスマートフォンや企業のデータセンターなどで今後も需要の拡大が見込まれることから世界の主要メーカーの間で激しい開発競争が続いています。


しかし、フラッシュメモリー事業は競争力を高めるためには製品の高性能化を進めることが不可欠で、事業の成長には毎年3000億円規模の巨額な設備投資を続けていくことが宿命となっています。


メーカー各社との競争に勝った場合は、大きな収益を生み出す源泉となりますが、ひとたび競争にまけると、その設備投資の大きさが経営にとって大きな負担となるリスクをはらんでいます。


このため、今回の巨額損失によって東芝の財務基盤が弱まれば、大規模な設備投資を続けること自体が経営の負担になる可能性もあります。


東芝は、来月、四日市市にある生産拠点で、新たな製造棟の建設を始めるなど、今年度から3年間で8600億円を投資する計画を進めています。

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