ネット時代に勝ち残るヒントが京都・花街の「お座敷遊び」にあった! - イノベーション的発想を磨く https://t.co/nXB8suAAtw
— ダイヤモンド・オンライン (@dol_editors) 2017年6月24日
最近はアマゾンなどのオンラインショップで買い物をする機会が、格段に増えた。そうしたECサイトには、ユーザーの商品閲覧や購買の履歴を分析し、次に欲しいと思うような商品を自動的に予測してリコメンド(推薦)する仕組みが備わっていることが多い。
フェイスブックなどのSNSでも、投稿、プロフィール、クリック履歴などから個々の利用者が関心を持ちそうな商品を推測して広告を表示する。
プライバシーを覗き見されているようで、気味が悪いと感じる人もいるだろう。だが、今やインターネットを使えば使うほどサービス提供側に利用者のデータが蓄積され、それがマーケティングに活用されることが、まったく珍しくなくなっている。
今後、ビッグデータやAI(人工知能)の技術がさらに進歩すれば、もっときめ細かい分析が可能になるはずだ。サービス提供者は、よりいっそうカスタマイズした商品やサービスを展開しやすくなっていくだろう。
つまり今後は、ますます大量生産型ではなく、顧客の個別ニーズをくみ取った商品やサービスづくりが主流になる、ということだ。それを踏まえた戦略策定と実行が、多くの企業の急務となるに違いない。
そのための強力なヒントになるビジネスモデルが、実は意外なところにあるのをご存じだろうか。350年の伝統を誇る京都・花街(花街)の「お茶屋」である。
本書『「一見さんお断り」の勝ち残り経営』の著者、高橋秀彰氏は公認会計士・税理士・宅地建物取引士で、高橋秀彰綜合会計士事務所代表。他の会計事務所の手に負えないような高度な案件を得意としており、数多くの相続対策や非上場企業の株主構成の再構築、資金繰り改善の実績を持つ。さらに京都・花街では、当地の不文律や裏事情にまで精通した稀有な顧客として知られる人物だ。
高橋氏によれば「一見さんお断り」は、顧客満足を徹底的に追求すれば当然に行き着く、合理的な戦略だ。
お茶屋は、顧客のための宴席、いわゆる「お座敷」を準備し、その場を切り盛りする。宴席の目的は、商談や懇親、慰労などさまざま。顧客や参加者の職業や役職、年齢層も千差万別だ。
お茶屋は宴席を発注した得意客の個別事情に合わせて、舞妓や芸妓、料理を手配する。さらに部屋の掛け軸や生け花、調度品なども宴席の目的や季節に合わせて最適化し、座席の過不足のないよう用意するなど、宴席全体をカスタマイズし、プロデュースする。
当日は宴席の滞りない進行に務め、万が一不測の事態が生じた場合にも、瞬時にその場で対応する。
つまり、お茶屋の提供するお座敷遊びは、完全な個別受注サービスであり、最高品質のおもてなしでニーズに対応しているのだ。
では、この「一見さんお断り」経営は、具体的にビジネスにどう応用できるのだろうか。実は本書の著者自らが、現代のビジネスで「一見さんお断り」を実践しているのだという。
著者の経営する高橋秀彰綜合会計士事務所は、「かいしゃの糧(かて)」という個別生産型の情報ツールを提供している。
公認会計士の仕事は、企業の経営状況を示す財務諸表などの決算書類をチェックし、法律に則った経営がなされているかどうかを監査することだ。
決算書類は記載すべき項目やルールが厳密に定められている。そのため、その内容チェックやアドバイスなどの業務は、どうしてもコモディティ業務に近くなる。
そのコモディティに近い業務で競争に勝つには、価格を抑えて少しでも多くの企業の監査業務を引き受ける「大量生産型」にするしかない。当然、価格競争にもなりやすい。
しかし高橋氏は、あるアイディアで業務のコモディティ化を避けるのに成功した。それが「かいしゃの糧」だ。
決算書類は、会計の専門家ではない経営者にとって難解だ。それをそのまま経営に役立てるのは至難の技だ。それはそれらの書類が税務署や投資家などの会社の外の人のために作られているからだ。
「かいしゃの糧」は、決算書類の情報を、経営者や幹部など社内の人のために加工し直して提供するツール(サービス)なのだ。
しかし「かいしゃの糧」は、多大な専門知識と、顧客企業の実情や競合などについて深く理解した上で、細部に渡って個別に加工していかなければならない。その作業はとても量産できるものではない。したがって、「かいしゃの糧」は1ヵ月に1社にしか提供できないのだという。
おそらくこのサービスを導入すると、なかなか他の会計士事務所への乗り換えがしづらくなるのではないか。さらに、サービスに満足した顧客の口コミや紹介で、新規顧客が、まさに「一見さんお断り」的に増えているに違いない。
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170501#1493635370
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