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この馬車列は、新しい外国大使が皇居・宮殿で本国からの信任状を天皇陛下に手渡す「信任状捧呈式」に臨むため、宮内庁から差し向けられるものです。


東京駅の駅舎や駅前広場の工事のため平成19年以降、別のルートが使われてきましたが、工事が終わったことから東京駅を出発する本来のルートでおよそ10年ぶりに復活しました。


11日は午前中、アフリカのベナンとエジプトの大使が東京駅の貴賓玄関で随員らとともに馬車に乗り込み宮殿に向けて出発しました。
馬車列は、警察の騎馬隊を先頭にいちょう並木の落ち葉で黄色く彩られた皇居までの道のりを時速10キロほどの速さでゆっくりと走り抜けました。


馬車の車体は漆塗りで内部にも美しい装飾が施されていて、丸の内のオフィス街を通りかかったサラリーマンや観光客が足を止めて見入ったりスマートフォンで撮影したりしていました。


馬車列は、皇居前広場を通って正門から皇居に入り、出発から10分ほどで二重橋を渡って宮殿に到着しました。


2人の大使はこのあと宮殿の「松の間」で儀式に臨み、天皇陛下に信任状を手渡しました。

宮内庁によりますと、新たに着任した外国の大使の送迎に馬車を使っている国はイギリスやスペインなど数か国に限られ、世界的にも珍しいということです。


日本では信任状捧呈式にあたって馬車にするか乗用車にするか選ぶことができますが、ほとんどの大使が就任の記念になるとして馬車を選びます。


馬車列は、大使や随員の乗る馬車や先導や護衛にあたる警察の騎馬隊など最大で15頭の馬と3台の馬車からなり、宮殿までのおよそ1キロの道のりを時速10キロほどの速さで走り抜けます。


現在使われている馬車は、ほとんどが明治の終わりから昭和のはじめにかけて当時の宮内省の工房で職人の手によって作られたものです。


車体は漆塗りで車内の装飾には象牙が用いられるなど美術的な価値も高く、天皇の即位や皇族方の結婚など重要な儀式の際にも使われます。今は工房はなくなり、新しい馬車を作ることができないため宮内庁は定期的に車体の漆を塗り替えるなど、手入れをしながら大切に使っています。


一方、馬車を引く馬は栃木県にある宮内庁御料牧場で育てられ、一定の大きさに成長すると皇居内に設けられた飼育施設に移されます。皇居には馬場もあり、宮内庁の専門の職員が平日のほぼ毎日訓練を行っているほか、臆病な性格とされる馬が儀式の最中、沿道の車や人に驚くことがないよう道路に面した場所での訓練も取り入れられています。


今回、10年ぶりに東京駅と皇居の間を往復することになるため、今月1日には本番と同じルートでの訓練も行われました。