https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com


 つまり私たちにとって、「やりたいことをやれるかどうか」が問題なのではない。問題は、「やりたいことのうち『何を』『いつ』『どのように』実現するのか」だ。


 そのとき、私たちに答えを指し示してくれるのが第7感だ(深いひらめきをもたらす、人間の脳の力「第7感」については『超、思考法』を参照)。第7感は、いくつものやりたいことと、そのさまざまな実現方法を組み合わせ、凧づくりをするのは無理だという結論を導く。だからあなたはオーストラリアには行かなかった。


 あなたにとって、凧をつくりたいという欲求は、他の欲求よりも小さかった。キャリアアップを目指したり、家族や恋人の近くに住んだり、安定した暮らしをしたりするほうが、凧づくりよりも重要だった。そして、第7感はそれを知っていた。

 そんなことは受け入れがたいと思うこともあるかもしれない。だが、詰まるところ人生とは、「やりたいこと」と「できること」の妥協点を見つけることなのだ。卒業式では、「やりたいことをやれ」と言われる。だが、レオナルド・ダ・ヴィンチはこう言っている。


「やりたいことができないのなら、できることをやりたいことにしろ」


 よりによって、あのダ・ヴィンチがこう言っているのだ。ご存じのとおり、ダ・ヴィンチルネッサンスを代表する芸術家で、アートだけでなく科学にも並外れた才能を発揮した人物だ。現代人からすると、彼ならやりたいことを何でも実現できたのではないかと思える。


 しかし、実際にはそうではなかった。あのダ・ヴィンチでさえ、やりたくない仕事をしなければならなかった。とくに、金持ちに依頼されて宗教画や肖像画を描くのはあまり好きではなかった。しかし、ダ・ヴィンチはできることをやりたいことにした。そして、その仕事に真剣に打ち込み、「最後の晩餐」や「モナリザ」など、美術史に燦然と輝く傑作をつくったのだ。


 もちろん現実には、「やりたいことか、できることか」のどちらかしか選べないような状況に置かれることは少なく、その中間を選択できることが多い。私たちは、自分は何をしたいのか、何ができるのかを考え、その2つが交差するところで生きている。そこで、「自分ではコントロールできること」と「できないこと」に対して、どのような「行動」をとればやりたいことを最大限できるかを考えることになる。

 数多くのやりたいことのなかから、何に情熱を注ぎ込み、何をあきらめるかを、どうやって選別すればいいのだろう?アルバート・アインシュタインはこんなアドバイスをしている。


「『最大の努力をすれば何とか達成できること』に取り組め」


 アインシュタインはこれを、現時点の能力をはるかに超える難しい問題に取り組もうとしていた物理学の学生に宛てた手紙で書いている。そして、いまの自分より少し上のレベルの問題に挑戦するように助言した。


 無理をして能力以上のことに挑戦してしまえば、失敗するのは目に見えている。アインシュタインの最大の仕事である相対性理論の発見も、世界5ヵ国の5人の科学者(ポアンカレ、ミンコフスキー、マッハ、ローレンツ、マクスウェル)の重要な発見を基盤にしている。アインシュタインの偉業は、このパズルのピースを組み合わせたことだった。そのピースそのものは他の誰かが見つけたものだった。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20171211#1512989229