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イランでは先月28日、物価の高騰や就職難に不満を募らせた市民が北東部の都市マシュハドで抗議行動を行ったのをきっかけに反政府デモが40以上の都市に広がり、最高指導者のハメネイ師を頂点としたイスラム体制への異例の批判に発展しています。


1日夜には中部イスファハン州の町で警察署を襲撃して武器を奪おうとした6人が射殺され、2日夜も各地でデモが続いたもようです。


一連のデモによる死者は23人となり、これまでに拘束された人は700人以上にのぼっています。


最高指導者ハメネイ師は2日、国営テレビで、デモが広がって以降初めてとなる反応を示し、イランと対立するアメリカやイスラエルを念頭に「敵が金や武器、政治力を使ってもめごとをつくりだそうとしている」と述べ、外国がデモを扇動しているとして批判しました。一方で、デモの参加者に向けた発言や政策に関する言及は一切ありませんでした。


イラン政府は1979年の革命以降続くイスラム体制への批判は一切受け入れない立場で、治安当局とデモ隊とのさらなる衝突が懸念されます。

アメリカのトランプ大統領はイランで反政府デモが広がって以降、連日、みずからのツイッターでイラン政府への批判を行っています。


2日は「イランの人々はとうとう残忍で腐敗したイラン政府に反して行動に出ている」と書き込み、デモを支持する考えを改めて示しました。


そのうえで「人々はほとんど食料もなく、インフレは大きく、人権もない。アメリカは見ている!」として状況を注視していく考えを強調しました。


また、「オバマ大統領が愚かにもイラン政府にあげてしまったすべての金はテロの資金となり、政府の”ポケット”に入った」と書き込み、2015年7月、イランの核開発を大幅に制限する見返りにアメリカなどが科していた経済制裁を解除することで欧米などとイランが合意した「イラン核合意」が念頭にあると見られます。


一方、イランの最高指導者ハメネイ師がアメリカなどを念頭に「敵がもめごとをつくりだそうとしている」と述べ外国がデモを扇動していると批判したことに対する反応は示していません。

イランで反政府デモが広がっていることを受けてヨーロッパでもイラン出身の人たちによる政府への抗議活動が広がっています。


このうちドイツのベルリンにあるブランデンブルク門には2日、およそ100人のイラン出身の人たちが集まり、「すべての政治犯に自由を」などと書かれたプラカードを掲げ、イラン国内で政治犯としてとらわれている人や一連のデモで拘束された人の解放を訴えました。


集会を主催した人は「ここにいるイラン人の多くは過去に政府に抗議して拘束され、解放後、ドイツに逃れてきた人たちだ。イラン国内にとどまる人々は外国にいる私たちの支援を必要としている」と述べ、イランの人々が自由に生きられるように国際社会の支援を呼びかけました。


また、イギリスのロンドンでもイラン大使館前にイラン出身の人たちが集まり、「イラン全土に広がる抗議の声を歓迎する」と書かれた横断幕を掲げて抗議の声をあげました。


このほか、イタリアのローマでもイラン大使館前で抗議集会が開かれ、参加した若い女性は「国際社会はこれ以上独裁政権を許さないでほしい。そうすれば、大勢の人の命を救えるはずだ」と訴えていました。

イランで続く反政府デモについてフランス外務省の報道官は2日、声明を発表し、「多くの犠牲者と拘束者が出ていることに懸念を表明する」としています。


そのうえで、「抗議活動を行うことは市民の基本的な権利であり、こうした人権が尊重されているかどうかが、今後のイランの当局との議論の中心になる」と述べ、フランス政府として現地の情勢を注視するとともに、イラン政府に対し、市民の人権を十分尊重するよう働きかけを強める考えを示しました


また、フランスのマクロン大統領は2日、イランのロウハニ大統領と電話会談し、抗議デモによって多くの犠牲者が出ていることに懸念を表明しました。


そのうえで、イラン政府に対し、緊張の緩和に向けて尽力するとともに、抗議行動や表現の自由など基本的な人権を十分尊重するよう求めました。


また、今週、予定していたルドリアン外相のイラン訪問を延期する意向を伝えたということです。

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こうした中、アメリカ・ホワイトハウスのサンダース報道官は2日、ことし最初の定例会見で「イラン政府は自国の繁栄を守ることよりも外国に争いやテロを拡散させることに人々の富を費やしている。これはイランの勇敢な市民による真の民衆蜂起だ」と述べ、イラン政府を非難し、アメリカとして反政府デモを支持する考えを明らかにしました。
さらに、「トランプ大統領の目標はイランの体制転換なのか」と問われたのに対し「アメリカの最終的な目標はイランの人々に基本的な人権が与えられること、そしてイランがテロ支援国家ではなくなることだ」と述べ、イランによるテロ支援を停止させることが目標だとの考えを示しました。


イランの反政府デモをめぐっては、最高指導者ハメネイ師がアメリカなどを念頭に「敵がもめ事を作りだそうとしている」と述べ、外国がデモを扇動しているとして批判していて、トランプ政権としてはデモを支持するのは正当だと国際的にアピールする狙いがあると見られます。

イラン全土で反政府デモが広がり死傷者が出ていることについて、アメリカのヘイリー国連大使は2日、国連本部で開いた記者会見の冒頭で言及し、ことしに入ってイランほど平和と安全、それに自由が試されている場所はないとして、強い懸念を示しました。
そのうえで「国連は声を上げなければならない。われわれはこれからここニューヨークとジュネーブの人権理事会で緊急会合を求めることになる」と述べ、国連安全保障理事会に対して緊急会合を開くよう要請する方向で検討していることを明らかにしました。


これについて今月の安保理議長国を務めるカザフスタンのウマロフ国連大使は2日開いた記者会見で、議長としてこの件でヘイリー大使と意見を交わしたことを明らかにし「現在協議しているが会合の予定は入っていない。安保理のメンバー国の反応次第だ」と述べ、安保理の内部に緊急会合を開くことには慎重な意見があることを示唆しました。


アメリカのトランプ大統領は、イランでの反政府デモが広がって以降、イランへの批判を繰り返しており、今後、国連の場でもその主張を強めていくものと見られます。


アメリカのトランプ大統領エルサレムイスラエルの首都と認めたことを受けて、パレスチナでは各地で抗議デモが行われ、反発を強めています。


こうした中、トランプ大統領は2日、ツイッターに「われわれはパレスチナに年に数億ドル支払っているが、感謝もないし敬意も払っていない」と投稿しパレスチナ側を批判しました。
そのうえで「パレスチナが和平交渉に参加する気がないのなら、どうしてわれわれが今後もばく大な支払いを続ける必要があるのか」と書き込み、イスラエルとの和平交渉に参加しないのであれば経済支援の凍結もあり得るという考えを示しました。


トランプ大統領としては中東和平交渉の再開に向けてパレスチナに圧力を加える狙いがあると見られますが、パレスチナ側は反発を一段と強めるものと見られます。


トランプ大統領は、パレスチナだけでなくパキスタンなどに対しても経済支援の凍結をちらつかせてアメリカの政策に協力するよう迫っています。


こうした中、PLO=パレスチナ解放機構のアシュラウィ幹部は3日、声明を出し「脅しには屈しない。和平の取り組みを妨害してきたのはトランプ大統領であり、今度はみずからの無責任な行動が招いた事態の責任を、パレスチナ側になすりつけようとしている」と反論しました。


パレスチナ側は今月5日のイスラム教の金曜の集団礼拝に合わせてアメリカに対する抗議デモを呼びかけるなど一段と反発を強め、イスラエル軍との衝突が拡大することも懸念されます。