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日本とEU=ヨーロッパ連合との定期首脳協議は、当初、EU本部のあるベルギーで行われる予定でしたが、安倍総理大臣が豪雨災害の対応を優先して訪問を取りやめたため、急きょ、日本で行われることになりました。


安倍総理大臣は、夕方、EUのトゥスク大統領とユンケル委員長を出迎え、陸上自衛隊の儀じょう隊による栄誉礼を受けたあと、定期首脳協議を行っていて、終了後に、日本とEUのEPA=経済連携協定の署名式に臨むことにしています。


首脳協議で、安倍総理大臣は、アメリカのトランプ政権が、鉄鋼やアルミニウム製品への輸入制限措置に続き、日本やEUから輸入している自動車や自動車部品の関税の引き上げを検討していることを踏まえ、今後のトランプ政権への対応をめぐって意見を交わしているものと見られます。


安倍総理大臣は、EPAへの署名をきっかけに、民主主義や法の支配など共通の価値観を持つ日本とEUが率先して自由貿易を推進していくことを確認したい考えです。


また首脳協議では、北朝鮮の非核化や拉致問題、それに東シナ海南シナ海をめぐる情勢についても意見を交わし、日本とEUの安全保障面での連携強化についても一致する見通しです。

5年前に交渉が始まった日本とEU=ヨーロッパ連合のEPA=経済連携協定をめぐる交渉は、去年12月に妥結しました。


その後、協定の条文を作成する作業が進められ、17日の署名で条文が確定しました。


日本とEUのEPAは、発効すれば、世界の貿易の37%、世界のGDP=国内総生産ではおよそ3割を占める、世界で最大規模の貿易協定となります。


また品目数ベースでの最終的な関税撤廃率が、日本側で94%、EU側は99%となっていて、TPP=環太平洋パートナーシップ協定を除くと、日本がこれまでに結んだ貿易協定の中では最も高い水準になっています。


主な品目では、EUが日本の乗用車にかけている関税を協定発効から7年で撤廃するほか、日本のチーズの関税について、ヨーロッパのソフトチーズに一定の枠を設けて、15年かけて撤廃することになります。


また、日本が10%の関税をかけている「チョコレート菓子」も10年で関税を撤廃します。


日本とEUのEPAは、日本にとっても実質GDPをおよそ5兆円押し上げ、雇用をおよそ29万人増やす経済効果が見込まれています。


このため、日本とEUは、来年の早い時期を念頭に、協定の早期発効を目指して、双方の議会での手続きなどを進めることにしています。


安倍総理大臣は17日午後、総理大臣官邸で、EU=ヨーロッパ連合のトゥスク大統領、ユンケル委員長と、日本とEUの定期首脳協議を行ったあと、EPA=経済連携協定に署名しました。


このあと安倍総理大臣はトゥスク大統領らと共同の記者会見に臨みました。この中で安倍総理大臣は、日本とEUのEPAについて「保護主義的な動きが世界で広がる中、日本とEUが自由貿易の旗手として世界をリードしていくという揺るぎない政治的意思を世界に鮮明に示すものだ」と述べ、意義を強調しました。


そのうえで、「人口およそ6億人、GDPのおよそ3割、およそ21兆ドルを占める世界で最大級の規模の先進経済圏が新たに誕生する。


21世紀にふさわしい高い水準の自由で公正な経済の枠組みを作り、アベノミクスの新しいエンジンとなるもので、農林水産業者や中小企業などにとって大きなチャンスが生まれることとなる」と述べ、早期発効を目指す考えを示しました。


また、安倍総理大臣は、EPAとともに、テロ対策や国連改革など幅広い分野での協力を推進するSPA=戦略的パートナーシップ協定にも署名したことについて、「自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有するパートナーとして、自由貿易の旗を高く掲げ、日EU関係をあらゆる分野で力強く発展させ、世界の平和と繁栄に貢献していく」と述べました。

日本とEU=ヨーロッパ連合のEPAは、今後、それぞれが国会とヨーロッパ議会の承認を経て発効します。


去年12月に交渉が妥結した時、EU側はイギリスを含む28か国で協定の内容に合意しました。


このため、日本とEUは、イギリスがEUを離脱する来年3月までに、EPAを発効させることを目指しています。


EPAが発効すれば、双方の人口合わせて6億3000万人余りの巨大な自由貿易圏が誕生することになります。


双方のGDP=国内総生産の総額は21兆ドルを超え、世界のGDPのおよそ28%を占めます。また、貿易額では世界の貿易全体の37%近くを占めることになります。


EU側は、日本とのEPAによって日本への輸出は34%増加し、EUのGDPを最大で0.76%押し上げる効果があると試算しています。


EUは、世界との貿易を盛んにすることが経済成長や雇用の拡大をもたらし、企業の競争力も高めるという立場で、自由貿易の協定づくりを推進しています。


日本とのEPAのほかにも南米のブラジルやアルゼンチンが加盟するメルコスール=南米南部共同市場やメキシコと協議を進めています。


今月からはオーストラリアやニュージーランドとも協議を始めました。しかしアメリカで保護主義的な政策を推し進めるトランプ政権が誕生して以降、アメリカとの間の貿易交渉は暗礁に乗り上げています。


それどころか、アメリカが先月、EUからの鉄鋼やアルミの製品に高い関税をかけて、輸入を制限する措置を発動して以降、米欧間で貿易摩擦が起きています。


アメリカが、ヨーロッパからの輸入車にも高い関税をかけることも検討し対立がエスカレートする可能性もあります。


EUには今回の日本とのEPAを通じて自由貿易の重要性を広くアピールする狙いがあります。


また、イギリスのEU離脱に続いて先月イタリアで、EUに懐疑的な政権が発足し、内部にはEUへの不満もくすぶっています。


日本とのEPAがEUにもたらす経済効果を加盟国に広く示すことで、EUの求心力を高める狙いもあります。

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